円安・物価高・賃上げの実態──数字にだまされない景気判断と政治選択の視点

経済、景気

最近の政治や経済に対する不満の声が高まる中、「円安で物価は高騰しているのに、本当に景気は良くなっているのか?」「政権与党が強調する経済指標の裏には何があるのか?」と疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。本記事では、データや実態を元に現状を見つめ直し、どのような政治判断が問われているのかを考えます。

「大幅賃上げ」の実態は? 年代別に見る賃上げ率

政府や一部の報道では「大幅な賃上げが実現」といったアピールがありますが、実態を見てみるとその恩恵は限定的です。特に若年層を中心に見かけの数字が高い一方で、年齢が上がるにつれ上昇幅は急激に縮小します。

たとえば、人事院の調査によると以下のような傾向があります。

  • 20歳未満・1級:+11.1%
  • 30歳未満・2級:+7.6%
  • 40歳未満・3級:+3.1%
  • 50歳未満・4級:+1.3%
  • 60歳以下・5級〜7級:+1.2%

このように、大企業が初任給を引き上げて話題になる一方で、中堅・ベテラン層では実質賃金が伸び悩み、生活実感に結びつかないケースが多いのが実情です。

有効求人倍率・失業率の「見かけの安定」

厚労省の発表では、有効求人倍率が1.3倍前後で安定、失業率も2.6%台と報じられています。しかし、これらの数字には「働きたくても働けない層」が含まれていない点に注意が必要です。

特に60歳以上の求職活動者は「現役水準の4割程度の賃金」でしか求人が出ず、それを理由に就職活動を断念するケースも少なくありません。その結果、「働けない人が数字に表れない」ことで見かけ上の失業率は下がり、景気が良く見えるという構造があります。

インバウンド消費の過大評価に注意

観光庁などの発表によると、インバウンド(訪日外国人)の消費額は約7兆円とされています。これは確かにコロナ前水準に回復しつつあり、経済的にプラス要素ではあります。

しかし、日本のGDP(国内総生産)は約500兆円規模であるため、インバウンドが占める割合はたったの1.4%程度。過剰な期待や報道が一部にある中で、インバウンドだけでは日本経済全体を押し上げる力にはなり得ないことは明白です。

企業の経常利益は「円安ボーナス」か?

2023年には多くの上場企業が過去最高水準の経常利益を記録しました。しかし、この背景には急激な円安による「為替差益」が大きく影響しており、企業の本来の成長力とは言い難い部分もあります。

さらに、得られた利益の配分については、株主還元や企業内部留保が中心であり、労働者への還元は限定的。つまり、利益が出ても賃金には還元されず、企業と株主だけが恩恵を受けている構造となっています。

政治選択の視点:何を基準に判断すべきか

与党か野党か、自民党か非自民か──その判断は、単なるイデオロギーやレッテルではなく、「生活に直結する政策が提示されているか」「将来世代に負担を先送りしない仕組みか」といった点に注目すべきです。

たとえば、減税や給付金、消費税の扱いなど物価高対策について、どの政党が現実的な対策を打ち出しているのか。単なる人気取りではない、根拠ある政策を見極める視点が求められます。

まとめ:生活の実感とデータのギャップを直視しよう

現在の政治と経済には、多くの「見かけの回復」と「生活実感の乖離」が存在しています。賃上げ、有効求人倍率、インバウンド、企業収益──どれも一見ポジティブに見えても、裏側の実態を冷静に読み解く力が必要です。

選挙は、自分や家族の将来を左右する大切な機会です。「なんとなく」や「現状維持」ではなく、自分の生活に直結する政策かどうかを判断し、より良い社会を目指していきましょう。

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