なぜ証券マンの“相場予想”は当たらないのか?金融業界の仕組みと投資戦略のリアルを解説

経済、景気

「有事のドル買い」「原油先物の高騰が景気を押し下げる」「米ドル円が再び上昇トレンドに…」こうした証券会社や銀行の営業担当が口にする経済用語や投資戦略の話に、なんとなく違和感を覚えたことはありませんか?なぜ彼らの話は説得力があるようで実際には“当たらない”ことが多いのか──その理由を、金融業界の構造と実例を交えて解説します。

証券会社の営業トークと「当てること」が目的ではない構造

証券会社の営業担当は、「相場を当てること」よりも「顧客と接点を持つこと」が主な仕事です。つまり、相場観の共有はあくまで「会話のきっかけ」であり、そこから顧客の投資意欲を引き出すことが営業活動の目的になっています。

そのため、相場予想の正確性よりも、「それっぽい話で顧客と接点を作る」「定期的に投資話題を提供する」といった営業手法が優先されることも少なくありません。

なぜ経済予測は外れるのか?投資の不確実性と情報の限界

相場の予想が難しい最大の理由は、経済は人間の行動と感情で動いているからです。地政学的リスク、金利、金融政策、天候、AI、SNSなど、予測不能な要因が複雑に絡み合って市場は形成されています。

たとえば「有事のドル買い」と言われても、すべての“有事”がドル高に繋がるわけではありません。現代では有事が米国経済にとってマイナスと判断されればドル安になるケースもあり、シンプルな過去則は必ずしも通用しません。

情報は「誰の視点で発信されているか」に注目すべき

多くの経済予測や投資コメントは、発信者の立場によりバイアスがかかっています。証券会社は手数料ビジネスで成り立っており、売買を促す必要があります。そのため「今がチャンス」「今後上がる可能性がある」といった前向きなトーンの情報が多くなる傾向にあります。

銀行系の投信営業では、「この新商品は今の相場に合っています」というプレゼンがなされることが多いですが、それは顧客の利益というより“販売ノルマの達成”が優先されている場合もあるのです。

プロも間違える投資の世界で個人が取るべき戦略

世界的な著名投資家でさえ、相場を読み違えることがあります。つまり、未来を正確に予測して勝ち続けることは極めて困難であり、それを前提とした戦略は長期的には破綻しやすいのです。

そのため、個人投資家に推奨されるのは、以下のような再現性の高い資産形成戦略です。

  • インデックス投資による分散と時間分散
  • ドルコスト平均法による積立
  • 長期保有前提の税効率の良い運用(NISA・iDeCoなど)

一発で相場を当てようとするよりも、「当たらなくても損をしにくい設計」を重視することが重要です。

実例:予測が外れた“それっぽい話”のパターン

・2022年「インフレで金利上昇、株式市場はしばらく低迷」とされたが、実際はNASDAQが年内に反発。

・2020年初頭「コロナで世界経済は崩壊寸前」という悲観予想が出回ったが、現実には大規模な金融緩和で株価はV字回復。

これらの例からも、「もっともらしい話」が現実の市場とは必ずしもリンクしないことがよく分かります。

まとめ:「当たる話」より「仕組みを知る」ことが投資成功のカギ

証券会社や銀行の投資戦略トークは、顧客との関係づくりや営業の一環として語られるケースが多く、必ずしも“当たる”ことを目的としていません。また、相場そのものが予測困難である以上、投資家自身が情報の使い方や背景を理解し、「予測に頼らず、再現性の高い投資戦略」を採用することが重要です。

経済の用語に惑わされず、シンプルで堅実な資産形成を目指しましょう。

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