企業が株主への利益還元として行う方法には「自己株式取得(自社株買い)」と「増配(配当金の増額)」があります。どちらが嬉しいかは投資家によって異なりますが、それぞれの仕組みや効果を正しく理解することが大切です。この記事では、両者の違いや企業の意図、投資家への影響をわかりやすく解説します。
自己株式取得とは?基本から解説
自己株式取得とは、企業が自社の株式を市場から買い戻すことです。これによって市場に出回る株の数(発行済株式数)が減るため、1株あたりの価値(EPS:1株あたり利益)が向上しやすくなります。
たとえば、10億円の利益を出している企業が1億株を発行していると1株あたりの利益は10円ですが、自己株式を買い戻して発行済株式が8,000万株になるとEPSは12.5円になります。このように、見かけ上の業績改善効果が期待できます。
自己株式取得のメリットと限界
メリット:EPSの上昇、需給の改善、将来の株価上昇期待などが挙げられます。企業が自信を持っている証としてもポジティブに捉えられる傾向があります。
限界:ただし短期的な株価上昇効果は限定的で、「目に見えた利益還元を実感しにくい」という声もあります。特に保有期間中に売却しない投資家にとっては、増配のような“現金収入”がないため、インパクトは小さく感じるかもしれません。
増配はなぜうれしい?実感しやすい株主還元
増配とは、企業が配当金を増やして株主に分配することです。こちらは明確に現金が口座に振り込まれるため、「わかりやすい利益還元」として多くの投資家に好まれます。
たとえば1株あたり配当が20円から30円に増えれば、1000株保有している投資家は年に1万円多く配当を受け取れることになります。増配は企業の安定的な収益力の証でもあり、長期保有型の投資家には安心材料になることが多いです。
自己株式取得と増配、企業はなぜ両方やる?
多くの企業は「総還元性向」として、利益の何%を株主に還元するかを基準にしています。増配と自己株式取得を組み合わせて還元することで、柔軟性を持たせつつ、株主へのアピールも強化できるのです。
たとえば不況期に増配を続けると将来的に減配リスクが高まりますが、自己株式取得なら一時的に調整可能です。つまり、企業側にとっては戦略的な選択肢という側面もあるのです。
実際の株価への影響は?
市場では「自己株式取得=株価が上がる」と期待されることがありますが、実際には必ずしも即座に反映されるとは限りません。特に投資家の注目が集まっていない企業や、市場全体が下落している局面では、効果が見えにくいこともあります。
一方、増配は「確実な利益享受」が見えるため、好感されやすく株価も反応しやすい傾向にあります。投資家心理に与える影響という面でも違いが出るポイントです。
まとめ:目的と状況に応じて評価すべき
自己株式取得と増配、どちらが良いという話ではなく、それぞれにメリットと役割があります。短期的な実感を得たい人は増配を好み、企業の中長期的な成長戦略を重視する人は自社株買いを評価する傾向があります。
いずれにしても、企業が株主還元に積極的であることはプラス材料です。個人投資家としては、企業の財務状況や戦略も含めて見極めることが重要です。

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