経済学の授業で「市場が失敗していない限り、価格政策は悪手で所得政策が正解」と言われても、なぜそう言えるのかピンとこない方も多いでしょう。この記事では、ミクロ経済学の基本的な考え方に基づいて、この主張の背景をわかりやすく解説していきます。
市場が「失敗していない」とはどういう状態か?
市場が失敗していないとは、需要と供給のバランスが自由な価格のもとで効率よく資源を配分している状態を指します。このとき、価格は消費者と生産者の意志を反映した最適な水準に落ち着きます。
つまり、自由市場が機能している限り、政府が価格に介入する必要はないというのがミクロ経済学の原則です。
価格政策とは?なぜ「悪手」と言われるのか
価格政策とは、価格上限・下限の設定、補助金による価格操作、税金による価格調整など、市場価格に直接影響を与える政策のことです。
一見効果的に思えますが、価格をゆがめることで市場のシグナルが狂い、需給のミスマッチや資源の非効率な配分が発生します。たとえば家賃規制は住宅供給の減少を招き、結果的に住宅不足を生むなどの弊害が起きることもあります。
所得政策とは?なぜこちらが「正解」なのか
所得政策は、税制や社会保障制度などを通じて人々の可処分所得を調整し、需要や福祉を高めるアプローチです。これは市場価格には介入せず、結果としての「格差」や「購買力の差」だけを調整しようとするものです。
ミクロ経済学では、市場のメカニズムを損なわずに公平性を追求できる点で、所得政策の方が望ましいとされます。
消費税廃止は「経済学的に非合理」なのか?
消費税は広く公平に課税でき、経済における歪みが少ないという利点があります。これを廃止することは一見、庶民の負担を軽減するように思われますが、その代替財源をどうするかが問題になります。
また、消費税廃止は価格政策に近く、購買意欲を一時的に上げるかもしれませんが、市場の構造そのものには大きな影響を及ぼさず、長期的な経済成長への効果は限定的です。
実際の政策判断における市場の「失敗」事例
たとえば外部性(公害など)や情報の非対称性(医療、教育分野など)が存在する場合、市場は効率的な配分を行えません。こうしたケースでは価格政策も正当化される場合があります。
例:タバコ税や炭素税は、消費行動にコストを意識させ、外部性の内部化を促すという意味で、価格政策として妥当とされることがあります。
まとめ:政策判断には経済学的な前提が必要
✔ 自由市場が効率的に機能しているなら、価格をいじる政策は市場をゆがめるリスクが高い
✔ 所得再分配などで市場の結果を調整する「所得政策」がより経済学的に理にかなっている
✔ 消費税廃止のような議論も感情論だけでなく、ミクロ経済の基本構造を踏まえて考えることが重要
経済学を深く学ぶことで、社会の政策やニュースの見方が大きく変わってきます。

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