子どもの進学資金や老後資金など、将来の明確な支出に備えて投資信託を積み立てている方にとって、「売却のタイミング」と「売却後の資金の置き場所」は重要な検討ポイントです。この記事では、段階的な売却戦略と売却後の資金管理方法について、リスクを抑えながら現実的に考えられる選択肢をご紹介します。
投資信託の売却は「必要時期の5年前」からが理想
リーマンショックやコロナショックのような急激な相場変動時に売却してしまうと、大きな含み損を抱える可能性があります。そうしたリスクを避けるため、必要資金の5年前から段階的に売却を始めるのがセオリーです。
たとえば、2029年に子どもの大学進学があるなら、2024年ごろから年1回ずつ分散して取り崩すことで、価格変動のリスクを平均化（ドルコスト平均法の逆活用）できます。
売却後の資金は「目的」に応じて分散管理
投資信託を売却したあとの資金は、リスクを極力抑えた形で安全に保有しておくことが重要です。以下に代表的な選択肢を整理します。
- ① 銀行の普通預金・定期預金：安全性は最も高く、すぐに使える利便性もありますが、金利は0.002%前後と非常に低いです。
- ② 国債（個人向け変動金利型10年など）：元本保証＋金利0.3〜0.5%程度（2025年時点）。1年目は解約不可ですが、以後は中途換金も可能。
- ③ 社債（格付けA以上）：高金利が魅力ですが、価格変動リスク・発行企業の信用リスクに注意が必要。初心者にはややハードルが高め。
- ④ リスクの低い投資信託：例：国内短期債券ファンドやMMF。現金よりは利回りが高いが、基準価額が日々動く点は要注意。
これらは単体で使うよりも、目的・時期別に分散して使うことでリスクと利便性のバランスを取りやすくなります。
資金の使い道と期間で分類する「資産の3分割」戦略
売却後の資金は、次のように使い道別に3分割して管理することが推奨されます。
- 直近1年以内に使う資金：普通預金で確実に確保
- 2〜3年後に使う資金：定期預金・個人向け国債で運用
- 5年以内でまだ余裕がある資金：リスクの低い投資信託・国債・短期債券など
たとえば、子どもの大学入学金は普通預金に、授業料は定期や国債で運用しつつ、生活費は投信で分割売却して準備するといった使い分けが可能です。
注意点：インフレと金利上昇に備える視点も重要
2020年代以降、世界的にインフレ傾向が強まっており、日本でも物価上昇リスクが現実味を帯びています。低金利でお金を寝かせるだけでは、実質的な購買力が目減りする可能性がある点にも注意が必要です。
そのため、全額を普通預金にするのではなく、国債や短期の債券ファンドといった低リスク商品を活用して、少しでも金利を得る工夫も視野に入れましょう。
まとめ：計画的な売却とリスク管理で安心の資金準備を
将来の必要資金に備えるためには、投資信託を「いつ・どうやって売るか」だけでなく、「売却後の管理方法」も非常に重要です。
売却は5年前から段階的に、資金の置き場所は普通預金・国債・低リスク投信などを目的別に使い分けておくことで、安心して大切な資金を守ることができます。ぜひ長期的な視点で、家族の未来に備えた資産計画を立てていきましょう。
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