ルノー、日産株で1兆円超の減損計上|その会計処理と背景をわかりやすく解説

株式

2025年前半、ルノーは日産への出資会計を変更し、約€9.5 billion(約1兆1000億円)の減損損失を計上しました。なぜこのような巨大な損失が生じたのか、会計処理の仕組みと影響を詳しく解説します。

なぜ9.5 billionユーロもの損失を計上したのか

ルノーは従来、持分法で日産株を会計処理していましたが、2025年6月末時点からIFRSに基づき「公正価値での評価」(fair value through equity)へ変更しました。

この変更により、日産の株価が著しく下落したため、帳簿価格との差額約€9.5 billionを「非現金」の損失として認識したのです。:contentReference[oaicite:0]{index=0}

会計上この損失はどう扱われる?

この減損は営業利益に含まれる特別損失扱いですが、**配当計算や将来キャッシュフローには影響しません**。

今後は、日産株式の価値変動はすべて「資本の部」に直接反映され、純利益には影響しない方針に切り替わりました。:contentReference[oaicite:1]{index=1}

1.6兆円という計算はなぜ合わないのか?

質問者が指摘した、「43%×株価1200円=1.5兆円」という計算は、歴史的な株価と実際の評価方法が一致せず、会計処理に反映されません。

会計上は、IFRSに準拠した**時点の公正価値評価**が重視されます。過去の取得価格や理論値は考慮されず、帳簿に計上された金額との差額が損失として処理される仕組みです。

減損処理は「自傷会計」?特損非課税か?

大胆に見える減損ですが、IFRSという国際会計基準に基づいた処理です。2025年上半期中に決算期を迎えたため、減損はその期の損益に一度きり計上される形です。

したがって「特損非課税」といった恣意的な処理ではなく、公正価値評価に基づく適正な会計操作です。:contentReference[oaicite:2]{index=2}

転換社債発行とユーロ下落の影響

約€8 billion規模の転換社債の発行自体は資金調達目的で、株価下落との直接因果関係は明らかではありません。

今回の減損計上は主に「持株評価方法の変更」によるものであり、為替レートや債務関係とは独立した財務会計上の判断です。

今後の見通しと戦略的関係の継続

ルノーは日産との協業関係を引き続き維持する意向を表明しています。現CEOの交代や株式保有比率の低下はありますが、事業的連携は続くとの姿勢です。:contentReference[oaicite:3]{index=3}

その上で、減損後は株価変動による損益影響を直接利益に反映しない構造に移行し、今後の市場変動リスク軽減を図っています。

まとめ

  • ルノーは公正価値による会計基準に変更し、日産株式の評価損€9.5 billionを計上。
  • これは非現金損失で、配当や純利益への影響は限定的。
  • 過去の株価からの算出額と会計基準の差額は整合せず、「1.6兆円」説は会計的に誤解。
  • 減損はIFRS準拠のもので、自傷的処理ではなく適正な基準。
  • 今後は日産への協業を継続しつつ、新処理方式で評価変動を資本の部に閉じ込める対応へ。
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