アメリカで再び「トランプ減税」のような大型減税政策が実行され、その財源として国債発行が増加すれば、米国債ETF、特に長期債に連動するEDVやTLTの価格に影響が及ぶのではないかと懸念する声が投資家の間で高まっています。本記事では、減税と国債発行の関係、金利と債券ETFの価格動向、さらには代替資産として検討可能な選択肢までを具体的に解説します。
大型減税と国債発行がもたらす市場への影響
財政赤字を伴う減税政策は、政府の支出増加と同義であり、財源を賄うために米国債の発行が増加します。債券の供給が増えれば、需給バランスの崩れから価格は下がり、結果的に利回り(=金利)は上昇します。
つまり、長期金利が上昇する局面では、既存の長期債ETF(EDVやTLTなど)の価格は下落する可能性が高いということです。特にこれらはデュレーション(価格変動率)が高いため、金利上昇時の値下がり幅も大きくなります。
金利上昇時の米国債ETFの動き方
たとえばTLT(米国20年超国債ETF)は、10年物米国債利回りが1%から3%に上昇した局面(2020〜2023年)で、価格が20〜30%以上下落しました。同様にEDV(超長期ゼロクーポン債ETF)はさらに影響を受けやすく、ボラティリティが極めて高くなります。
そのため、減税+財政赤字拡大 → 国債発行増加 → 長期金利上昇という流れは、米国債ETFには逆風になり得る点に留意が必要です。
長期債ETFが下がるとき、代替として検討できる資産
長期米国債ETFの代替として考えられるのが、以下のような選択肢です。
- 短期米国債ETF(SHY・VGSHなど):デュレーションが短いため、金利上昇の影響を受けにくい。
- インフレ連動債(TIPなど):実質利回りの上昇やインフレ対策に有効。
- 外国債券ETF(BUND:独国債、JEI:日本国債など):金利政策が異なる国を組み入れることで分散効果を期待。
特にドイツ国債ETFはユーロ圏の低金利維持姿勢と相まって、金利上昇リスクが米国より小さい可能性があります。
ポートフォリオ戦略としての債券の役割を再確認
債券ETFを保有する目的が「値上がり益」ではなく「リスク低減(ディフェンシブ用途)」であれば、短期債やキャッシュ同等資産へのシフトが戦略として有効です。
また、債券ETFのリスクを軽減する方法としては、ドルコスト平均法で時間分散しながら買い増す、あるいは金利がピークに達したと見られるタイミングで積極的に買うなどの工夫もあります。
まとめ:減税と金利上昇が続く局面では長期債ETFの慎重運用を
トランプ減税や大規模な財政出動が実施される場合、長期国債の価格に下押し圧力がかかる可能性は十分にあります。そのため、EDVやTLTなどの長期米国債ETFは慎重に見極める必要があります。
金利上昇期には短期債や外国債ETF、またはインフレ連動債などの活用を視野に入れたポートフォリオ再設計が効果的です。リスクと目的を明確にした債券投資が、将来の資産防衛に繋がるでしょう。

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