株式投資の配当金を受け取った際、確定申告で「総合課税」または「申告分離課税」を選択できるのはご存じの方も多いでしょう。しかし、すべての配当金を申告する必要があるのか、それとも一部のみでも可能なのか、疑問に思った方もいるのではないでしょうか。本記事では総合課税で配当金の一部を申告する仕組みや制限について解説します。
総合課税と申告分離課税の基本をおさらい
配当所得は、確定申告時に以下の3つの課税方法から選択できます。
- ① 確定申告不要(源泉徴収のみ)
- ② 総合課税
- ③ 申告分離課税
総合課税では配当金を給与所得などと合算し、累進税率(最大55%)で課税されますが、配当控除が使えるというメリットもあります。
総合課税で「一部の配当金」を申告できるか?
結論から言えば、配当金の一部だけを総合課税として申告することは可能です。ただし注意が必要なのは、同一の銘柄に関する配当について「課税方式を混在させること」はできません。つまり、A社株の配当のうち一部は申告、残りは申告不要といった選択は基本的にはNGです。
実務上では、証券会社ごとに集計された配当金の「全額」を課税方式ごとに区分することが求められます。そのため、例えば証券会社Aで受け取った配当金を総合課税に、証券会社Bは申告不要とするようなことは技術的に可能です。
具体的なケーススタディ
例1:楽天証券とSBI証券の2社で配当を受け取った場合、楽天証券の分のみを総合課税で申告し、SBI証券の分は申告しないことは可能です。
例2:楽天証券の中で、A社とB社の株を保有している場合、A社の配当のみ申告しB社は除外することは原則できません。証券会社単位でまとめて申告する必要があります。
総合課税にすると得するケースとは
以下のような条件に当てはまる場合、申告することで税負担が軽減される可能性があります。
- ✔️ 年収が330万円未満で、配当控除の恩恵を最大限に受けられる
- ✔️ 配当所得が38万円以下で所得控除内に収まる
- ✔️ 他の損失(不動産や事業など)と損益通算ができる
配当控除の具体的な還付額については、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」でシミュレーションするのが有効です。
一部だけ申告する際の注意点
・配当金の支払通知書や年間取引報告書に基づいて、証券会社ごとの配当合計額を正確に確認しましょう。
・「申告不要」として扱う配当は確定申告書に記載しないよう注意が必要です。記載してしまうと課税対象として扱われてしまいます。
・同一口座内の課税方法混在は避けることが推奨されており、ミスすると追徴の可能性があります。
まとめ:総合課税で一部申告は原則「証券会社単位」で可能
確定申告で配当金の一部のみを総合課税で申告することは、原則として可能ですが、同一証券口座内での一部申告には制限があります。制度の仕組みを理解し、正しく申告することで税負担を抑えることも可能です。迷った場合は税理士への相談や、国税庁の相談窓口を活用するのもおすすめです。

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