日本の政治において「積極財政」を主張する政治家として、安倍晋三元首相、高市早苗議員、西田昌司議員など、いわゆる右派・保守系の政治家の名前がしばしば挙がります。一方、財政支出を抑える「緊縮財政」はリベラル・中道の一部からも支持されており、直感に反していると感じる方も多いかもしれません。本記事では、積極財政と保守・右派思想との親和性について、歴史・経済・安全保障の観点から解説します。
積極財政とは?その基本的な意味と目的
積極財政とは、政府が景気対策や国民生活の安定のために公共投資や補助金、減税などを通じて、積極的に財政支出を行う政策です。景気低迷時には政府支出を増やすことで需要を下支えし、経済の活性化を図るという「ケインズ経済学」に基づいた考え方が土台となっています。
例えばインフラ整備、防衛費の拡充、教育や子育て支援など、国家主導で需要創出や雇用維持を行う政策は、典型的な積極財政の一環です。
右派・保守系政治家と積極財政が重なりやすい理由
一見すると、右派・保守系の政治家は「小さな政府」を志向しそうなイメージがありますが、日本における保守はむしろ「国家の役割の強化」を重視する傾向が強く、積極財政と親和的です。
彼らが掲げる主な理念には以下のようなものがあります。
- ・国家の自立と主権の強化
- ・防衛力の増強
- ・地方経済や農業・中小企業の保護
- ・少子化対策や教育投資
これらを実現するには、当然ながら政府の財政支出が必要になります。したがって、右派・保守系の政治家が積極財政を志向するのは、ごく自然な流れなのです。
安倍政権のアベノミクスと積極財政
安倍晋三元首相が掲げた「アベノミクス」では、大胆な金融緩和・機動的な財政政策・成長戦略の3本の矢が軸でした。中でも第2の矢「機動的な財政出動」は、まさに積極財政の典型です。
例えば、全国各地での公共インフラ投資や、地方創生のための交付金拡充、企業支援の補助金制度などはその具体例にあたります。これらの政策は経済回復だけでなく、国土の安全保障強化や地域の活性化という保守的な価値観にも合致していました。
防衛・インフラ・国益重視の視点と積極財政
保守・右派は、安全保障や経済安全保障といった「国家の持続性」に強い関心を持っています。そのため、防衛費の増額や、半導体など戦略物資の国内生産支援などにも積極です。
このような政策には莫大な予算が必要であり、緊縮財政では対応が困難です。たとえば2023年度以降、日本政府は防衛費をGDP比2%に引き上げる方針を示しましたが、これも積極財政なしには実現できません。
“財政健全化”と“国民の安全・繁栄”のせめぎ合い
一方で、日本では長らく「プライマリーバランス(PB)黒字化」を財政政策の指針としてきたため、積極財政に対しては「将来世代にツケを残す」といった批判も根強くあります。
しかし、高市早苗氏や西田昌司氏などは、PB黒字化目標の見直しを訴えており、「デフレ脱却と経済成長なくして財政再建なし」という考え方をとっています。これは「まず国民生活を豊かにすることが国家の安定につながる」という保守的な国家観に裏打ちされています。
まとめ:保守の積極財政は“国家の強靭化”を目指す手段
積極財政は、単に経済政策の枠を超えて「国家の安全」「社会の安定」「国民の誇り」を守るための手段として、保守・右派の政治家と親和性があります。防衛、経済、地方、子育てといった政策において、「国が責任をもって支出すべきだ」という信念が根底にあるためです。
財政規律とのバランスをどう取るかは今後の重要な議論ですが、国家観を軸にした積極財政の考え方は、今後も日本の政治の大きな柱となる可能性があります。

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