株式投資における「損切り」は、含み損を確定させて今後の投資効率を高めるための重要な判断です。ただし、「損を出したら税金が返ってくる」との認識には注意が必要です。特に、日本株と米国株では課税の仕組みが異なり、損切り後の扱いにも違いがあります。この記事では、株式損失と税金の関係について、日本株・米国株それぞれの制度を解説しながら、勘違いしやすいポイントをわかりやすくご紹介します。
株の損切りで税金が戻るのはどういう仕組み?
基本的に、株の損切りをしても税金が現金で「戻ってくる」わけではありません。ただし、「譲渡損失の繰越控除」や「損益通算」といった制度を活用することで、過去や将来の利益にかかる税金を軽減することが可能です。
たとえば、2025年に2000万円の損失を出した場合、2025年以降3年間で利益が出た年にその損失と通算することで、税金を抑えることができます。
日本株の場合:損失は最大3年間繰越可能
日本株での損切りによる損失は、確定申告を行えば、最大3年間の繰越控除が可能です。つまり、将来利益が出た年の税金(20.315%)を減額できます。
具体例:
- 2025年に損失2,000万円を確定
- 2026年に利益500万円 → 損失と相殺し、税金ゼロ
- 2027年に利益800万円 → 残りの損失1,500万円と相殺し、税金ゼロ
このように、利益と損失を合算して課税額を減らす「損益通算」が可能です。ただし、証券口座が特定口座(源泉徴収あり)でも、繰越控除には確定申告が必要なので注意が必要です。
米国株の場合:損切りによる税金への影響は限定的
米国株の取引で損失を出した場合も、日本国内での課税対象(譲渡所得)としては日本株と同様に扱われます。つまり、損益通算や繰越控除は適用可能です。
しかし、米国株に対しては
もあります。この部分は損失と相殺されませんが、「外国税額控除」により、日本での税額控除の対象となります。
なお、「米株で損失を出したから30%税金が戻る」というのは誤解で、そもそも売却損には税金がかかっておらず、還付されるものもありません。
損切り後に「税金が戻る」と思われがちな勘違いパターン
投資家の間でよくある誤解には以下のようなものがあります。
- 「損したら自動的に税金が戻ってくる」→NG:確定申告が必要
- 「20%が返金される」→NG:利益にかかる税金が相殺されるだけ
- 「損しただけで税金のメリットが受けられる」→一部正解だが即金ではない
実際には、税額が軽減される“将来の節税効果”として理解するのが正解です。
まとめ:損切りによる「節税効果」はあるが即時還付ではない
株の損切りによって「税金が戻ってくる」と考えるのは誤解です。実際には、損益通算や繰越控除を活用して、今後の利益にかかる税金を抑える効果があります。
日本株・米国株のいずれでも、確定申告を行うことで節税のチャンスが生まれるため、含み損を確定させた年の申告を忘れずに行いましょう。

こんにちは!利益の管理人です。このブログは投資する人を増やしたいという思いから開設し運営しています。株式投資をメインに分散投資をしています。
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