ビットコインと歴史的ハイパーインフレ:どれが最もボラティリティが高いのか?

資産運用、投資信託、NISA

資産や通貨の価格変動を比較する際、「ボラティリティ(価格変動の激しさ)」は重要な指標です。今回は、現代の仮想通貨であるビットコインと、歴史的に悪名高いジンバブエドル、ハンガリー・ペンゲー、ワイマール共和国のドイツマルクという3つの通貨のハイパーインフレ事例を比較し、どれが最もボラティリティが高かったかを解説します。

ビットコインの価格変動の歴史

ビットコインは2009年に誕生し、当初は無価値に近いものでした。2010年には初めてピザ2枚に1万BTCという取引が成立し、以後価格は急騰と暴落を繰り返しながら、2021年には一時6万9000ドルに達しました。

例えば、2017年には1年間で約15倍に急騰した後、2018年にはわずか1年で80%以上下落するなど、そのボラティリティは年率100%以上を記録することも珍しくありません。

ジンバブエドルのハイパーインフレ

2000年代後半のジンバブエでは、年率2億%を超えるハイパーインフレが発生しました。2008年には100兆ジンバブエドル紙幣が発行され、パン1つが数十億ジンバブエドルという異常事態に陥りました。

ジンバブエドルの価格は1日で数十倍に暴騰・暴落することもありました。経済が崩壊し、通貨としての信用が完全に失われ、最終的にはジンバブエ政府が自国通貨を廃止するに至りました。

ハンガリー・ペンゲーの世界最悪のインフレ

第二次世界大戦後の1946年、ハンガリーで使用されていた「ペンゲー」は、世界史上最悪のインフレを記録しました。最悪時には24時間で物価が2倍になるという凄まじいスピードでインフレが進行し、1兆兆ペンゲー(=10の20乗)という単位の紙幣が登場しました。

このインフレ率は実に年率10の25乗パーセントとも言われ、通貨としての意味が完全に失われていたとされます。貨幣単位が毎日変わるため、価格表記が不可能となり、経済活動は崩壊状態にありました。

ワイマール共和国の通貨危機

第一次世界大戦後の1920年代初頭、ドイツのワイマール共和国でも極端なハイパーインフレが発生しました。1919年に1ドル=4.2マルクだったレートが、1923年には1ドル=4.2兆マルクに達したのです。

パン1斤の価格が、1日で数百万倍に跳ね上がるなど、ジンバブエやハンガリーに比べると速度は遅いですが、長期的なインフレとしては大規模でした。労働者は日に2回給与を受け取り、現金を持って即座に買い物に走るような状況でした。

比較:どの資産・通貨が最もボラティリティが高いか?

対象 年次ボラティリティ・変動率 特徴
ビットコイン 数百%(年次) 自由市場での変動。暴騰・暴落のサイクルが速い
ジンバブエドル 数億%(年次) 政府の財政破綻に起因。通貨の崩壊
ハンガリー・ペンゲー 10の25乗% 史上最悪。日次で価格2倍以上
ドイツマルク 数兆%(年次) 戦後の賠償・金融混乱による長期的崩壊

結論としては、ハンガリー・ペンゲーが記録したボラティリティが人類史上最も大きく、ビットコインの変動率は確かに高いものの、これら歴史的なハイパーインフレとは桁が違います。

まとめ:変動の背景と性質の違いに注目を

ビットコインは自由市場での投機的変動によるものですが、ハイパーインフレは国家経済や金融システムの崩壊が原因です。そのため、「通貨としての機能停止」という意味ではインフレ通貨のほうが深刻な事態と言えるでしょう。

資産価値やボラティリティを比較する際は、背景や変動の構造を理解することが重要です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました