ゲーム理論におけるナッシュ均衡と純粋戦略・混合戦略の理解

経済、景気

ゲーム理論は、意思決定における最適戦略を分析するための強力なツールです。特にナッシュ均衡という概念は、ゲームにおける最適な戦略を理解するために欠かせません。しかし、ナッシュ均衡を理解するのは初心者にとっては少し難しく感じることがあります。今回は、具体的な例を通じてナッシュ均衡の考え方や純粋戦略・混合戦略の違いについて解説します。

ナッシュ均衡とは?

ナッシュ均衡とは、ゲームにおける各プレイヤーが自分の最適戦略を選んだとき、誰もが戦略を変更したいとは思わない状態のことを指します。すなわち、他のプレイヤーが自分の戦略を変更しないと仮定した上で、自分も戦略を変える必要がないという状態です。

ナッシュ均衡は、複数のプレイヤーが相互に影響を与え合う状況で最適な結果を導くために重要な概念となります。この概念を理解するために、実際のシナリオを見てみましょう。

シナリオ:有害物質削減の投資ゲーム

この例では、2つの国が有害物質削減のための投資を行うかどうかを決めるという状況です。第1段階では、両国は同時に「参加」または「不参加」を選びます。その後、投資を行う国は自国の利益を最大化するための投資額を決定します。最終的な利益は次のように決まります。

  • 両国とも参加:両国とも1ずつ投資し、32の利益を得る。
  • 1国だけ参加:参加した国は2の投資を行い、自国の利益は8、相手国の利益は72。
  • 両国とも不参加:投資は行われず、利益も0。

ナッシュ均衡と純粋戦略

このシナリオにおけるナッシュ均衡は、実は「1国だけが参加する」という形になります。両国が「参加」を選んだ場合、どちらも1ずつ投資して利益32を得ることができますが、実際には、どちらの国も「参加」を選ぶことで他国が不利益を被ることになります。

「参加する」「不参加」といった戦略が確定的に決まる場合、このような戦略を「純粋戦略」と呼びます。純粋戦略では、各プレイヤーがどの戦略を取るかがはっきりと決まっています。このシナリオでは、「1国だけ参加する」のがナッシュ均衡に該当します。

混合戦略の導入:確率で戦略を選ぶ

一方で、「混合戦略」とは、一定の確率で戦略を選ぶ方法です。例えば、あるプレイヤーが「参加する」確率を1/6、「不参加」の確率を5/6で選ぶといった形です。このように、確率に基づいて戦略を選ぶことで、予測不可能性が生まれ、ゲームの動態に新たな変化をもたらすことがあります。

混合戦略では、純粋戦略とは異なり、必ずしも決まった戦略を選ぶわけではなく、確率的に異なる戦略が選ばれるため、より複雑なゲームの結果をもたらします。

この場合、どちらの戦略を選ぶべきか?

今回のシナリオにおいて、「純粋戦略」と「混合戦略」のどちらを選ぶべきかは状況によります。ナッシュ均衡が「1国だけ参加する」となる理由は、各国が自国の利益を最大化するために他国が不利益を受ける戦略を選ぶためです。

純粋戦略を選んだ場合、1国だけが参加し、他国は不参加を選ぶことになります。一方、混合戦略を取ると、参加の確率が低くなることで、両国が均衡に達するための確率が微妙に変化します。どちらの戦略も、ゲームの結果に大きな影響を与えるため、プレイヤーは自身の利益と相手国の選択に基づいて最適な戦略を選ぶ必要があります。

まとめ:ナッシュ均衡と戦略選択の重要性

ナッシュ均衡は、ゲーム理論における重要な概念であり、他のプレイヤーの選択に対して最適な戦略を見つける手段となります。純粋戦略では戦略が決まっているのに対し、混合戦略では確率に基づいて戦略を選ぶことで、ゲームの結果を柔軟に変えることができます。

このように、ゲーム理論を理解することは、複雑な意思決定を行う上で非常に有用です。特にナッシュ均衡を理解することで、競争や協力の場面で最適な判断を下すことができます。

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