ハイパワードマネーとは?現金と法定準備を足したものとしての意味と預金との違い

経済、景気

ハイパワードマネー(High-powered money)は、中央銀行の金融政策や貨幣供給量を理解する上で非常に重要な概念です。特に「現金と法定準備を足したもの」という定義には、なぜ預金が含まれないのかと疑問を持つ方も多いでしょう。本記事では、ハイパワードマネーの意味や構成要素について詳しく解説し、現金と法定準備の関係を理解するための視点を提供します。

1. ハイパワードマネーの基本とは

ハイパワードマネーとは、中央銀行が供給する基礎的な貨幣のことを指します。この貨幣は、主に「現金」と「法定準備金」の2つの要素で構成されています。現金は、紙幣や硬貨など実際に流通する物理的な貨幣を意味し、法定準備金は銀行が中央銀行に預けている準備金を指します。

これらの貨幣は、経済における貨幣供給の基盤となり、金融システムの中で非常に重要な役割を果たします。では、なぜ「預金」はハイパワードマネーに含まれないのでしょうか?

2. ハイパワードマネーの構成要素

ハイパワードマネーを構成する主な要素は以下の通りです。

  • 現金(通貨): これは、経済に直接流通している物理的な貨幣であり、企業や個人の手元にある現金を指します。
  • 法定準備金: 銀行が中央銀行に保有する準備金で、中央銀行の口座に預けられているお金です。銀行はこの準備金を用いて、他の銀行との取引を行ったり、中央銀行の金融政策に基づいて動いたりします。

これらの2つがハイパワードマネーの基本的な要素となり、銀行システムを通じて経済全体に影響を与えます。

3. 預金がハイパワードマネーに含まれない理由

なぜ預金はハイパワードマネーに含まれないのでしょうか?それは、預金が「信用創造」を通じて銀行の貸出活動を反映したものだからです。銀行は、預金を受け入れた後、その預金の一部を貸し出すことができます。これにより、預金は銀行の信用に基づいて増減し、中央銀行が供給する現金や法定準備金とは直接的な関係がありません。

預金は、銀行システム全体の信用に基づいて創造されるもので、中央銀行が直接供給するものではありません。そのため、預金はハイパワードマネーに含まれず、広義の貨幣供給量(M2やM3)には含まれるものの、基礎的な貨幣供給の指標であるハイパワードマネーには含まれないのです。

4. ハイパワードマネーと貨幣供給量の関係

ハイパワードマネーは、経済全体の貨幣供給量を決定する基礎となりますが、実際の貨幣供給量はハイパワードマネーから銀行の信用創造によって増加します。例えば、銀行がハイパワードマネー(法定準備金)を基にして貸し出しを行うことで、預金が創出され、これが貨幣供給量の増加に繋がります。

そのため、ハイパワードマネーは「貨幣の元手」となる部分であり、中央銀行が金融政策を通じて直接調整できる指標となりますが、最終的な市場で流通する貨幣の量は、銀行システムを通じた信用創造に依存しています。

5. 実例:ハイパワードマネーとインフレの関係

ハイパワードマネーが供給されると、それがどのように物価やインフレに影響を与えるのでしょうか?一つの実例として、中央銀行が金利を引き下げたり、量的緩和政策を実施することで、ハイパワードマネーが増加します。このような政策により、銀行はより多くの貸し出しを行い、その結果として預金が増え、経済全体に流通する貨幣の量が増加します。

この貨幣供給量の増加は、最終的には消費者の購買意欲を刺激し、物価が上昇する可能性を引き起こすのです。つまり、ハイパワードマネーの供給がインフレの引き金になることがあるのです。

6. まとめ

ハイパワードマネーは、現金と法定準備金の合計であり、預金が含まれない理由は、預金が銀行の信用創造によって増減し、中央銀行が直接管理する対象ではないからです。ハイパワードマネーは、金融政策や経済の基礎的な通貨供給量を決定する重要な指標となります。

貨幣供給量とインフレ、金利の変動など、ハイパワードマネーは経済全体に大きな影響を与えるため、その仕組みを理解することは金融政策を理解する上で不可欠です。

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