経済学において、国民所得(NI)や国民総所得(GNI)などの指標は、国の経済活動を測定するための重要なデータです。これらの指標は似ているようでいて、実際には異なる意味を持っています。特に、国民所得には含まれないものが、国民総所得には含まれることがあり、混乱を招くこともあります。この記事では、国民所得(NI)と国民総所得(GNI)の違い、そしてそれに関連する用語の使い分けについて詳しく解説します。
1. 国民所得 (NI) とは?
国民所得(National Income, NI)は、ある国の国民が一定期間に得た所得の合計を示します。この指標は、国内で生産された財やサービスの売上から、政府に支払う税金や企業が支払う補助金などの間接税を差し引いたものです。
国民所得は、税金が含まれていないため、実際の「生産」や「所得の分配」に焦点を当てる指標とされています。そのため、国民所得には消費税や関税などの間接税が含まれません。
2. 国民総所得 (GNI) とその特徴
一方、国民総所得(Gross National Income, GNI)は、国民所得に加えて、外国から得た所得(例えば、外国で働く国民からの収入や、国外で得た投資利益)を含みます。つまり、GNIはその国の国民が、国内外で得た総所得を反映した指標となります。
国民総所得には、間接税を含む場合がありますが、主に国民の所得に基づく指標として、外的要素を加味することに特徴があります。例えば、海外からの配当金や利子などがGNIに含まれます。
3. GNI と GNP の違い
「GNI」と似た指標に「GNP(Gross National Product)」がありますが、GNIとGNPには明確な違いがあります。GNPは、一定期間における国内外の国民による生産活動の合計を示しますが、GNIはその生産活動に加えて、外国からの所得の収支も含みます。
例えば、国内で生産された製品が外国で販売され、その利益が国内に戻ってきた場合、その利益はGNIに含まれますが、GNPでは国内生産額に依存するため、外国で得た利益は加算されません。これにより、GNIはより広範囲な「国民の所得」を示す指標として利用されます。
4. 間接税の影響:なぜNIには含まれないのか?
国民所得(NI)には、間接税が含まれない理由は、その計算方法にあります。間接税は、生産物やサービスに対して課される税金(消費税、関税など)ですが、これらは直接的な所得ではなく、消費者が支払う「税金」に過ぎません。
したがって、間接税を含まないNIは、実際の「所得分配」を重視しており、経済全体の収益や消費者の支出を反映する形で評価されます。この点が、GNIと大きく異なる部分です。
5. まとめ: NI と GNI の使い分けと重要性
国民所得(NI)と国民総所得(GNI)は、どちらも国の経済を測るための重要な指標ですが、目的や計算方法に違いがあります。NIは国内で生み出された純粋な所得を示し、GNIは国民が国外で得た所得も含むため、より包括的な視点を提供します。
これらの指標を理解することで、経済の健全性や国際的な所得の移動をより正確に把握することができます。したがって、使用するシーンによって適切な指標を選択することが重要です。
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