2020年、世界中で新型コロナウイルスが流行し、経済活動が一時停止した中で、多くの人が「株価は大暴落するのでは?」と予想しました。ところが実際には、アメリカの株式市場は政策金利がゼロに下げられた後、V字回復とも言える動きを見せました。これは一見すると矛盾しているように感じますが、金融政策と投資マインドを理解すると、その背景が見えてきます。
政策金利が下がると株価が上がる理由とは?
政策金利が下がる=お金を借りやすくなるということです。これにより、企業は資金調達がしやすくなり、個人もローンや住宅購入の負担が減るため、経済全体の回復を後押しする期待感が生まれます。
また、低金利になると、債券などの利回り商品が魅力を失うため、投資マネーが株式市場に流れやすくなります。つまり、金利が下がると“株を買う理由”が増えるのです。
FRBの大胆な金融政策が投資家の安心材料に
コロナ初期、FRB(アメリカ連邦準備制度)はただ政策金利をゼロにしただけではありません。さらに次のような大胆な金融政策も発表しました。
- 量的緩和(QE)の再開:大量の国債を購入して市場に資金を供給
- 社債の購入:企業の資金繰りを支援し倒産リスクを低下
- 無制限の資金供給宣言:市場を安心させる心理効果
これにより、「どんなに下がってもFRBが支えてくれる」という、いわゆる“パウエル・プット”とも呼ばれる安心感が投資家の間に広がりました。
米国政府の財政出動と給付金も株価押し上げ要因に
FRBの金融緩和に加えて、アメリカ政府は大規模な財政出動を実施しました。具体的には。
- 1人あたり最大1200ドルの給付金
- 失業手当の上乗せ支給
- 企業支援のための補助金やローンプログラム
これにより、消費が思ったほど落ち込まず、さらに給付金をきっかけに個人投資家が株式市場に参入する動きも活発化しました。実際に、当時はロビンフッド(Robinhood)ユーザーの急増が話題になりました。
実際の市場データで見るV字回復の流れ
株式市場の動きを振り返ると、以下のような流れがありました。
時期 | S&P500の動き | 主な出来事 |
---|---|---|
2020年2月末 | 約3,300 → 約2,200 | コロナショックで急落 |
2020年3月中旬 | 底打ち | FRBがゼロ金利・QE再開を発表 |
2020年8月 | 約3,400 | 史上最高値を更新 |
このように、実体経済の悪化と株価の上昇が乖離しているように見えても、金融政策が株式市場を下支えしていたのがわかります。
まとめ:コロナ禍の株価上昇は「金融政策と期待感」が牽引した
一見矛盾するように見える「経済が止まっているのに株価が上がる」という現象は、FRBの強力な金融緩和と政府の財政出動によって、市場に強い安心感と資金が流れたことによるものです。
株価は必ずしも「今の経済」を反映しているわけではなく、半年〜1年先の未来を織り込むと言われます。コロナ初期の市場も、「これから回復するだろう」という期待が先に株価に表れたと考えられます。
このように、株式市場は心理や政策に敏感に反応する側面があることを理解しておくと、将来の市場動向をより冷静に判断できるようになるでしょう。

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