米国株(NY株)が下落する一方で、円高が進行する場面を見ると、「なぜ株安なのに円が買われるのか?」と疑問に感じる投資初心者も少なくありません。特に為替レートが144円台まで円高に振れた局面では、その背景を理解しておくことが重要です。この記事では、株価と為替の基本的な関係から、円高が進む要因までを具体例とともに解説していきます。
株価と為替の基本的な関係性とは?
株価と為替は、必ずしも同じ方向に動くわけではありません。しかし、次のような一般的な傾向が見られます。
- 米国株が上昇 → 投資マネーがリスク資産に向かい、ドル高・円安になりやすい
- 米国株が下落 → リスク回避の動きで、安全通貨とされる円が買われ、円高になりやすい
つまり、株安=リスクオフ=円高という構図が、短期的には成立することが多いのです。
なぜ円は「安全資産」として買われるのか?
日本円は、世界的に「安全通貨」としての評価を受けています。その理由は以下の通りです。
- 日本が経常黒字国であり、外貨依存度が低い
- 対外債権が多く、海外からの信用が高い
- 通貨安定性やインフレリスクが比較的低い
そのため、世界の投資家がリスクを回避したいとき、円を買って資産を守ろうとする動きが起こります。これが「リスクオフの円買い」と呼ばれる現象です。
実例:NY株安と円高が同時に起きたケース
たとえば、2024年末に米国の景気後退懸念が高まり、NYダウやナスダックが大きく下落した局面では、ドル円相場が150円台から一気に144円台まで円高方向に進みました。
このときの背景には、米金利低下に加えて、FRBの利下げ観測や、地政学リスクなど複数の要素が重なり、リスク資産の売却と円の買い戻しが加速したことがありました。
為替と株式市場が逆行する理由
通常、「円高になると日本の輸出企業にマイナス」とされ、日経平均株価にとっても悪材料になります。一方、米株とドル円は一致して動くとは限らず、短期的には逆行する動きもしばしば見られます。
特に、米国の金利低下が意識されると、ドルの魅力が薄れ、円が買われやすくなります。加えて、米国株が下落すると、ドル建て資産の売却によりドルを売って円に戻す動きが出るため、円高が進行するのです。
初心者が注目すべきポイントと対策
こうした相場環境では、以下のポイントに注目すると為替と株の動きが読みやすくなります。
- 米国の長期金利の動向
- FRB(米連邦準備制度)の政策発言やFOMC会合
- 地政学リスク(中東、ウクライナなど)の緊張
- VIX指数(恐怖指数)によるリスクオン・オフの判断
特に、ドル円は米金利と連動しやすい傾向があるため、米国10年債利回りを見る習慣をつけると、為替の先行きがイメージしやすくなります。
まとめ:NY株安と円高は「リスク回避」の表れ
NY株が下落し、同時に円高が進むのは、世界の投資家がリスクを避け、安全な通貨である円を選んでいることの表れです。これは決して矛盾した動きではなく、リスクオフ局面においては自然な市場の反応です。
株価と為替の動きを単独で見るのではなく、金利・地政学・投資家心理など複数のファクターを組み合わせて判断することが、今後の相場を読み解く鍵となります。

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