リスク資産の妥当な金利の求め方とは?貸倒確率と安全資産を踏まえた計算解説

経済、景気

投資や金融に関心のある方にとって、「貸倒れリスクを考慮した資産の期待利回り」は重要な概念です。特に、安全資産の金利とリスク資産の貸倒確率が与えられたとき、「どの程度の金利であればリスクに見合った投資先となるか」を理解することは、投資判断の基礎力となります。本記事では、その考え方を丁寧に解説します。

基本となる考え方:期待リターンの一致

安全資産とは、返済が確実な債券や預金のように、原則として元本が保証される資産のことです。これに対し、リスク資産は、一定の確率で貸倒れが発生し、元本が失われる可能性があります。

この2つの資産を投資先として比較する際は、期待リターン(期待収益率)を基準にします。期待リターンとは、リターンの「確率加重平均値」のことです。

数式を使ったリスク資産の期待リターン計算

次のような式を用いて、リスク資産の妥当な金利(r)を計算します。

(1 − 貸倒確率)×(1 + r) + 貸倒確率 × 0 = 1 + 安全資産利率

今回の設定を代入すると。

  • 安全資産の金利 = 3.0% → 1.03
  • 貸倒確率 = 5.0% → 0.05
  • (1 − 0.05)×(1 + r) = 1.03
  • 0.95 ×(1 + r) = 1.03
  • 1 + r = 1.03 / 0.95 ≒ 1.08421
  • r ≒ 0.08421(≒ 8.421%)

小数第3位を四捨五入すると「0.084」つまり8.4%となり、0.08(8.0%)では少し低いという結果になります。

なぜこの計算が必要なのか

投資家は、リスクを負う代わりにより高いリターンを求めます。したがって、貸倒れという損失リスクを加味したときに、安全資産よりも魅力的でなければ、そのリスク資産には投資する意味がありません。

たとえば、貸倒れのリスクが5%あるにもかかわらず、安全資産と同じ3%の金利では、投資家にとって期待値が下がってしまい損になります。

実務における利用場面

このような計算は、銀行の融資部門や企業の財務部門、あるいは投資アナリストなどが日常的に用いる重要な考え方です。

たとえば、社債や貸付債権、ベンチャー投資などで「リスクに見合った金利設定」が必要になる場面では、貸倒れの確率や回収率(リカバリーレート)などを織り込んで、金利水準を算出します。

まとめ:8.4%が妥当、8.0%では少し不足

結論として、安全資産の金利が3.0%で、貸倒確率が5.0%の場合、リスク資産の金利は約8.4%が妥当な水準となります。

少数第3位で四捨五入する際は、0.08421 → 0.084(8.4%)となるため、0.08(8.0%)とするのは惜しいところであり、正確性を求めるなら再検討が必要です。

投資の世界では、数%の違いがリターンに大きな影響を与えることもあるため、ぜひ正確な期待収益の考え方を身につけておきましょう。

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