近年、MT4やMT5を活用したEA(エキスパートアドバイザー)による自動売買が一般トレーダーの間でも普及しています。特にYouTubeやSNSをきっかけにEAを導入し始めた方も多いのではないでしょうか。しかし、「勝率は高いのに利益が出ない」「21勝2敗なのに収支はほぼ±0」というケースも珍しくありません。本記事では、そのようなEAの仕組みと評価方法、今後の判断軸についてわかりやすく解説します。
勝率が高いのに利益が出ない理由
「勝ち:21、負け:2」というデータを見れば、一見優秀に思えますが、勝率だけではEAの良し悪しは判断できません。注目すべきは「リスクリワード比(損益比率)」です。
たとえば、10回の取引で1回負けた時に、その1回の損失が10回分の利益を相殺してしまうと、勝率が90%でも利益はゼロになります。これは「コツコツドカン型EA」とも呼ばれ、含み損に耐えながら小さく利確し、損切り幅は広く設定されているEAに多く見られる特徴です。
損益分岐点を理解する:勝率と損益比率の関係
EAの損益がプラスになるためには、勝率と損益比率のバランスが必要です。具体的には以下のような計算式が参考になります。
勝率 × 平均利益 ≧ (1 - 勝率) × 平均損失
たとえば、勝率が90%で平均利益が10pips、平均損失が100pipsの場合。
0.9 × 10 = 9 < 0.1 × 100 = 10
となり、長期的には損失になります。
このように、数字を分解して見ることで、表面上の勝率に惑わされずEAの実力を見極めることができます。
短期間の成績に依存しすぎないこと
EAの評価は1週間〜2週間の稼働成績では判断できません。相場環境は日々変動しており、一時的に好成績でも、長期では破綻するロジックも存在します。
バックテストやフォワードテストを数ヶ月〜1年以上かけて確認することで、本当に一貫性のあるロジックなのか、相場変動に柔軟に対応できているかが見えてきます。
優れたEAを見極めるためのチェックポイント
EAの選定や継続稼働の判断には以下のポイントを意識しましょう。
- 損小利大型のロジックか?(利益>損失)
- ドローダウンの大きさと回復力
- ナンピンやマーチンゲール戦略を多用していないか
- バックテストの期間と精度(ティックデータが使われているか)
- フォワード成績の公開期間と安定性
また、YouTubeやSNSで紹介されているEAは「プロモーション目的」の場合もあるため、過度な期待は禁物です。
改善策と今後の運用方針
もし現在使っているEAが“負けてはいないけど利益も出ない”という状態であれば、以下の対応を検討してみてください。
- ポジションサイズ(ロット)を調整してリスク分散
- カスタム設定で損切り幅を調整(可能であれば)
- 並行して別のEAや手法とのポートフォリオ構築
- 稼働停止ライン(含み損や連敗数)を明確に設定
EAに頼りきるのではなく、自分自身が“運用者”である意識を持つことで、より安定したトレード環境が作れます。
まとめ:勝率だけでは判断できない、EA評価は「質と構造」から
EAの評価は「勝率」だけでなく、「損益比率」「ドローダウン」「運用期間」など多面的に見る必要があります。勝率が高くても利益が出ないEAは、根本的な設計に問題がある可能性もあります。
短期的な数字に一喜一憂せず、長期視点での分析と検証を重ねながら、自分にとって最適なEA運用スタイルを見つけていきましょう。

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