なぜ株式投資は分離課税で金(ゴールド)投資は総合課税なのか?税制の違いをわかりやすく解説

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株式投資と金(ゴールド)投資では、利益が出た際に適用される課税方式が異なります。株式は「申告分離課税」、一方で金の現物売買による利益は「総合課税」の対象です。この違いはどこから生まれているのか。この記事では、両者の税制上の取り扱いとその背景について、わかりやすく解説していきます。

株式投資はなぜ分離課税なのか?

株式投資による売却益や配当益は、原則として申告分離課税(税率20.315%)の対象です。これは所得税・住民税と切り離して課税される方式で、他の所得(給与や年金など)とは合算されません。

この制度は、2000年代初頭に株式市場の活性化や個人投資家の参入を促す目的で整備されたものです。特定口座制度や源泉徴収ありの仕組みも併せて導入され、確定申告の手間を軽減する設計になっています。

金(ゴールド)投資が総合課税になる理由

一方、金の現物(インゴット、コインなど)を売却して得た利益は、原則として「譲渡所得」に区分されます。これは総合課税の対象であり、他の所得と合算して所得税率が決定されます。

ただし、保有期間が5年を超えると「長期譲渡所得」となり、税負担は軽減される仕組みもあります(課税対象が50%に圧縮)。

なぜ株とは異なり金は分離課税ではないのかというと、金は「金融商品」ではなく「物品」として扱われるためです。つまり、金の売買は株や債券のような市場取引ではなく、モノの売買としての性格が強いため、個人が不動産や美術品を売却した場合と同様に「譲渡所得」として処理されます。

ETFや純金積立の場合はどうなる?

なお、金への投資でも「金ETF」や「純金上場信託(1540など)」のように、金融商品として上場しているものに投資した場合は、株式と同じく分離課税が適用されます。

また、「純金積立」や「金地金の積立投資」の場合は、現物を実際に引き出すかどうかで課税の取り扱いが変わるケースがあります。多くの場合は現物とみなされ、譲渡所得扱い=総合課税となりますが、金融商品に近い形で扱われることもあり、取引先の証券会社や貴金属商に確認することが重要です。

実例で比較:課税方式の違い

例1:株式投資のケース
100万円で購入した株を120万円で売却し、20万円の利益が出た場合→分離課税で税額は約4万円(20.315%)

例2:金の現物投資のケース
100万円で購入した金を120万円で売却し、20万円の利益が出た場合→総合課税として給与などと合算され、所得税率に応じて課税(例:所得税率20%+住民税10%なら税額6万円)

税制上の判断が投資戦略を左右する

このように、税制の違いは手取り利益に大きな影響を与えます。投資対象を選ぶ際には、価格変動や将来性だけでなく「どのような課税がされるのか」も重要な判断材料となります。

特に高所得者層にとっては、総合課税になる投資商品は税率が高くなる傾向にあるため、注意が必要です。逆に、長期保有を前提とする場合は、金の譲渡所得も税負担を抑えられる可能性があります。

まとめ

株式投資と金投資の課税方式の違いは、それぞれの「資産としての性質」によって定められています。株式は金融商品として分離課税、金は物品として総合課税というルールに基づいており、そこには制度の背景や取引形態の違いがあります。投資戦略を立てるうえで、この違いを正しく理解しておくことが、賢い資産運用への第一歩となるでしょう。

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