「需要曲線は右下がりになる」とは、価格が下がるほど需要量が増えるという経済学の基本です。しかし、なぜそうなるのかと問われると、意外と説明に詰まることがあります。特に「代替効果」と「所得効果」の理解が曖昧なままだと、図と説明がうまく結びつかないことも。本記事では、需要曲線が右下がりになる理由を理論と図解・具体例を交えて丁寧に解説します。
需要曲線が右下がりになる2つの主な理由
需要曲線が右下がりになる背景には、代替効果と所得効果という2つの経済的な反応があります。
- 代替効果:価格が下がった商品は、他の似た商品よりも魅力的になり、消費者がそちらに切り替える。
- 所得効果:価格が下がることで、同じお金でより多くのモノが買えるようになり、実質的にお金が増えたように感じて消費量が増える。
この2つの効果が同時に起こるため、価格が下がると需要が増え、結果的に需要曲線は右下がりの形状になるのです。
代替効果とは?他の選択肢との比較で行動が変わる
たとえば、紅茶が1杯300円、コーヒーが1杯200円だとします。このとき、コーヒーの価格が150円に下がったら、紅茶派だった人も「コーヒーでいいかも」と思うかもしれません。
このように、価格の下がった商品が他の財よりも魅力的に感じられることで、需要が移動するのが代替効果です。あなたのノートに「他の財に代替されるから」と書いていたのは、この代替効果のことを指している可能性が高いです。
所得効果とは?価格が下がると“お金に余裕”が生まれる
今まで1,000円で5個しか買えなかったお菓子が、1個150円に値下がりしたら6個以上買えるようになります。これは、消費者の購買力が増したということ。これが所得効果です。
実際に所得(給料など)が増えたわけではないのに、価格の低下によって実質的に使えるお金が増えたような感覚になるため、より多く消費され、需要が増えるというわけです。
需要曲線のグラフを読み解く視点
通常、横軸に「需要量」、縦軸に「価格」をとると、右下がりの曲線になります。この曲線は「価格が下がると需要量が増える」という関係を示しています。
つまり、グラフの形からは代替効果・所得効果そのものは読み取れませんが、その裏側にある消費者行動を理論的に説明するときに、両者の視点が必要になるのです。
例題:需要曲線が右下がりでないケースもある?
稀ではありますが、ギッフェン財と呼ばれる特殊な財では、価格が下がっても需要が減るという逆の動きも観察されることがあります。
これは主に低所得者層が対象で、主食のような不可避な支出において、価格が下がったことで高級品に支出が移り、むしろその財の消費が減るような例です。ただし、一般的な市場では右下がりの需要曲線が基本です。
まとめ
需要曲線が右下がりになるのは、価格が下がることで「代替効果」と「所得効果」が働き、消費者の需要が増えるからです。あなたのノートに書かれていた「他の財に代替されるから」という記述は、代替効果として正しい方向性を示しています。ただし、それだけでは不十分なので、所得効果との組み合わせで説明することが経済学の正しい理解につながります。グラフの形を見ながら、背後にある消費者の心理と行動を読み解くことが大切です。

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