金(ゴールド)の価格はここ数年で大きく上昇し、2024年には国内価格で1グラム=12,000円台を超える水準を記録しました。それを見て「もう高すぎて上がらないのでは?」と感じる方も多いかもしれません。しかし、金価格は需要・供給だけでなく、インフレや金融政策、地政学リスクなど様々な要因で動く資産です。果たして金は1g=2万円を超える可能性があるのか?この記事ではその背景とシナリオを読み解いていきます。
金価格の基本構造と過去の推移
金価格は基本的に「国際的な金相場(ドル建て)」と「為替(ドル/円)」の掛け算で形成されています。たとえば、国際金価格が1トロイオンス=2,000ドルで、ドル円が150円だと、国内価格は1gあたり約10,000円を超える形になります。
過去10年を振り返ると、2013年ごろは4,000〜5,000円台だった金が、2024年には1g=12,000円超えにまで上昇しており、その背景にはコロナショック、ウクライナ情勢、世界的なインフレ進行などが影響しています。
1g=2万円のシナリオはあり得るのか?
金価格がさらに上昇し1g=2万円に達するためには、大きく以下の2要因が想定されます。
- 国際金価格の急騰:現在2,300ドル前後の金相場が、たとえば3,000ドルを超える水準に達する。
- 為替の円安進行:ドル円レートが160〜170円以上まで進行する。
この2つが同時に進行した場合、理論上は金の国内価格が1g=20,000円を超える可能性も十分あります。
たとえば、金価格3,000ドル × 160円 ÷ 31.1035(1トロイオンス=約31.1g)=約15,400円/1g。この場合でも2万円には届きませんが、仮に3,500ドル・170円などに達した場合、2万円超えも見えてきます。
金価格を押し上げる主な要因
① インフレ圧力の継続:金はインフレヘッジ資産とされており、物価上昇への備えとして需要が増します。世界的な物価高が続く限り、金の魅力は高まりやすいです。
② 地政学リスク:戦争・政変・金融危機など、不安定な要素が高まると「安全資産」として金に資金が流れやすくなります。特に米中対立、中東情勢などが緊張すると金価格が動くことが多いです。
③ 中央銀行の買い増し:近年、ロシアや中国などの中央銀行が外貨準備の一部として金を大量購入しており、これも相場を支える要因となっています。
金価格を下げる可能性がある要因
もちろん逆のリスクも存在します。
- 米国の利下げによるドル安が進まない:金利が高止まりする状況では金に利息がつかないことから魅力が減る可能性があります。
- 株式市場の好転:株式や仮想通貨など他のリスク資産に資金が向かうと、金から資金が流出することがあります。
- 為替が円高に振れる:日本円が強くなると、たとえ金が上がっていても国内価格には抑制圧力がかかります。
個人投資家が考えるべきポイント
金は配当や利息がないため、短期的なキャピタルゲイン(売買益)を目的とするよりも、資産の一部を安全に守る「守りの資産」として持つのが基本です。
たとえば、「全体資産の5〜10%程度を金で保有する」というような戦略を取ることで、株式・債券・不動産などが下がったときのバランスを取る役割が期待できます。
また、「もう高いから買えない」と思っているうちに、さらに上がってしまう可能性もあるため、少額ずつ積立投資(ドルコスト平均法)を検討するのも現実的な選択肢です。
まとめ
金価格が1g=2万円を超えるかどうかは、国際的な相場動向と為替の影響に大きく左右されます。現状のままでは即到達する水準ではありませんが、地政学リスクやインフレ、ドル安・円安が重なれば十分現実的なシナリオとなります。重要なのは、金の特性を理解し、自分の資産全体のバランスを考慮しながら投資判断を下すことです。「高いか安いか」よりも、「持つべきかどうか」で考えるのが金投資の本質といえるでしょう。

こんにちは!利益の管理人です。このブログは投資する人を増やしたいという思いから開設し運営しています。株式投資をメインに分散投資をしています。
コメント