「関税の発表」と「米国債の金利上昇」。一見すると直接の関係がなさそうに思えるかもしれません。しかし、実は経済の仕組みを理解すると、このつながりはとても論理的です。本記事では、トランプ政権が関税強化策を発表した際に、なぜ米国債の金利が上昇したのかを、初心者にもわかりやすく説明します。
関税が経済に与える影響とは?
関税とは、輸入品に対して政府が課す税金のことです。トランプ大統領が導入した追加関税は、特に中国製品に対して大幅な税率をかけるものでした。これにより、米国内では次のような影響が起こると予想されました。
- 輸入品価格の上昇:中国製の製品が高くなり、消費者や企業のコストが増加します。
- インフレ圧力の上昇:価格全体が上昇する傾向となり、インフレ(物価の継続的な上昇)が強まる可能性が出てきます。
この「インフレリスク」が、金利の動向に大きく関わってきます。
米国債の金利(利回り)はどう決まる?
米国債の金利(=利回り)は、市場の需給と将来の経済見通しによって変動します。インフレが進むと、投資家は「今の1ドルの価値」が将来下がることを懸念し、債券の金利が高くなければ買わなくなります。
つまり、インフレ懸念があると、債券を売る人が増えて価格が下がり、結果として金利(利回り)は上がるのです。
関税→インフレ懸念→金利上昇という流れ
トランプ関税が発表されたときの市場の反応は、次のような連鎖でした。
- 関税によりモノの価格が上がる=インフレが進む可能性が高まる
- インフレが進むと、FRB(米連邦準備制度理事会)が利上げに踏み切るかもしれないと市場が予想
- 金利上昇を先取りする動きが起こり、国債が売られる
- 国債価格が下落 → 逆に利回り(金利)が上昇
このように、「トランプ関税の発表」は、間接的にインフレ期待と金利上昇を引き起こしたのです。
実例:2018年当時の市場反応
2018年に実際に起きた米中貿易戦争の初期、米国が中国製品に関税をかけた直後、10年債利回りは急上昇しました。インフレ懸念だけでなく、米国政府の歳入減(=財政赤字拡大)に対する不安も加わり、「今後もっと国債が発行されるのでは?」という思惑も金利上昇を後押ししました。
この時期にはS&P500も一時下落し、米国債と株式がともに影響を受ける複雑な相場となりました。
金利上昇が意味するもの
金利の上昇は、住宅ローンや企業の借り入れコストを増加させるため、実体経済にも影響を及ぼします。したがって、関税政策は貿易だけでなく、金融市場全体に広がる影響を持つのです。
投資家にとっては、単なる「関税」のニュースも、金利や為替、株式市場の動向を読むうえでの重要なファクターとなります。
まとめ
トランプ関税の発表によって米国債の金利が上昇したのは、インフレへの懸念と財政不安が市場に広がったからです。債券価格が下落すれば利回りは上昇するという金融の基本的な動きを理解すれば、このような現象も自然に読み取れるようになります。経済ニュースを深く読み解く力は、投資にも生活にも役立つ重要なスキルです。

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