2025年3月期、農林中央金庫は過去最大となる1兆8078億円の連結純損失を計上しました。これはリーマン・ショック時の2009年3月期の5721億円を大きく上回る赤字であり、その主因は外国債券の運用失敗にあります。本記事では、この巨額損失の背景と要因を詳しく解説します。
金利上昇による外債の含み損拡大
農林中央金庫は、長年にわたり米国や欧州の国債を中心とした外国債券への投資を行ってきました。しかし、近年の米欧の金利上昇により、これらの債券価格が下落し、含み損が拡大しました。特に、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げが予想以上に長期化したことが影響しました。
例えば、2023年末時点での市場予想では、FRBが2024年3月から利下げを開始し、年内に5〜6回の利下げが行われるとされていました。しかし、実際には利下げが遅れ、金利高止まりの状況が続いたため、農林中央金庫の保有する外国債券の評価損が拡大しました。
ヘッジ戦略の欠如とリスク管理の甘さ
農林中央金庫は、外国債券の価格下落リスクに対するヘッジ戦略を十分に講じていなかったとされています。多くの金融機関が金利スワップや先物取引などでリスクヘッジを行う中、同金庫はこれらの手法を積極的に採用していなかったことが、損失拡大の一因となりました。
また、投資ポートフォリオの多様化が不十分であり、特定の資産クラスへの依存度が高かったこともリスク管理上の問題と指摘されています。
巨額損失の計上と資産売却の決断
含み損が拡大する中、農林中央金庫は2024年6月に、10兆円を超える外国債券の売却を決定しました。これにより、未実現損失を実現損失として計上することとなり、2025年3月期の巨額赤字につながりました。
この決断は、将来の金利動向に対する不確実性を考慮し、リスクを早期に顕在化させることで、財務の健全性を確保する狙いがありました。
今後の展望と再建への取り組み
農林中央金庫は、今後の再建に向けて、投資ポートフォリオの見直しやリスク管理体制の強化を進める方針を示しています。また、国内外の経済情勢や金利動向を注視しながら、慎重な運用を行うことが求められます。
さらに、内部統制の強化やガバナンス体制の見直しを通じて、同様のリスクが再発しないような仕組み作りが重要となります。
まとめ
農林中央金庫の過去最大の赤字は、外国債券の運用失敗と金利上昇による含み損の拡大が主因です。リスクヘッジの欠如や投資ポートフォリオの偏りが損失を拡大させました。今後は、リスク管理体制の強化と運用戦略の見直しを通じて、再建を目指すことが求められます。

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