消費税廃止は現実的か?物価高時代における税制のあり方を考える

経済、景気

物価高が続く現在、家計の負担が増す中で「消費税を廃止すべきではないか」という声が多く聞かれるようになっています。特に中小企業やフリーランス、非正規労働者にとって、消費税は大きな負担です。本記事では、消費税の現状やその是非、廃止の可能性と影響について多角的に考察します。

消費税はなぜ「安定した税収」とされるのか?

日本政府が消費税を重要視する最大の理由は「景気に左右されにくい安定財源」であることです。所得税や法人税は景気に連動して変動しやすいのに対し、消費税は人々が生活必需品を購入する限り一定の税収が見込めます。

2023年度の税収を見ると、消費税は約22兆円と、所得税・法人税に次ぐ規模を誇り、社会保障費や少子高齢化対策の財源として位置づけられています。

物価高の中で消費税は逆進的な負担となる

一方で、消費税は「逆進性が強い税制」としても知られています。つまり、低所得者ほど所得に占める税負担の割合が高くなるという特徴があるのです。

たとえば、年収200万円の人と年収1000万円の人が同じように年間100万円を消費すれば、消費税(10%)の支払いは同額10万円ですが、前者にとっては大きな負担となります。物価上昇と相まって、実質可処分所得が圧迫される構造は深刻です。

なぜ今、消費税廃止論が浮上するのか?

以下のような社会背景が、消費税廃止を求める声を強めています。

  • 食料・光熱費など生活必需品の高騰
  • 非正規雇用やフリーランスの拡大による不安定な所得
  • コロナ禍による中小企業の経営悪化
  • 社会保険料などの負担増との複合的影響

特にフリーランスや小規模事業者にとっては、消費税の「インボイス制度」導入も新たな重荷となっており、実質的な負担増と見なされています。

消費税を廃止したら財源はどうなるのか?

約22兆円にのぼる消費税収を代替するには、以下のような議論があります。

  • 法人税・所得税の累進強化:高所得者や大企業への課税強化で再分配
  • 富裕層課税(金融所得課税の見直しなど):資産に着目した課税強化
  • 無駄な支出の見直し:海外援助、防衛費、公共事業などの精査

これらは政治的調整が必要であり、すぐに実現することは難しい一方で、長期的な構造改革とセットでなら実行可能性があります

国の借金と「財政破綻」の真偽

政府債務が約1500兆円に達していることを理由に「将来世代の負担が増す」と言われますが、これは一面的な見方です。

日本は自国通貨建ての国債を発行しており、中央銀行が国債を買い入れることでデフォルト(債務不履行)のリスクは極めて低いと考えられています。また、家計の金融資産は2000兆円を超えており、バランスシート全体で見れば日本は「純資産国」です。

海外との比較:世界では消費税ゼロの国も存在

国によっては消費税(付加価値税)ゼロの国もあります。たとえば。

  • アメリカ:連邦レベルでは消費税なし(州・地方に売上税あり)
  • 香港:消費税なし。所得税・法人税中心
  • UAE:近年導入されたが税率は低く、免税対象が多い

消費税の有無はその国の経済構造や政策哲学により異なり、日本でも今後の制度見直しが求められる局面にあります。

まとめ

物価高騰と所得の伸び悩みが続く中で、消費税の逆進性と経済への悪影響に対する懸念は現実的です。すぐに廃止するのはハードルが高いものの、減税や税率引き下げ、必需品への軽減税率拡充など、段階的な対応も選択肢として議論する余地は大きいでしょう。

財政健全化と国民生活の安定の両立を図るためにも、広い視点での税制改革が今、必要とされています。

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