近年、米の価格が高騰している背景には、先物取引の影響があると指摘されています。先物取引は将来の価格を予測し、売買契約を行う市場取引の一種です。では、なぜ先物取引が現物価格に影響を与えるのでしょうか?その仕組みと実態を解説します。
先物取引とは何か?
先物取引は、特定の商品を将来の決められた日に、決められた価格で受渡すことを、売手と買手の間で約束する取引です。取引時点では証拠金の差入れ以外に代金の支払いなどは行われませんが、受渡を行うと約束した日には、先物取引の買手は必ず必要な代金を売手に支払い、売手は必要な量の商品を買手に引き渡さなければなりません。ただし、受渡を行うと約束した日の前日までであれば転売することで、取引を手仕舞うこともできます。
先物価格と現物価格の連動性
先物価格と現物価格の間には高い連動性があります。先物の理論価格は現物価格を基に計算されますが、この価格は多くの市場参加者間で共有されており、先物価格が理論価格から乖離した際には、いずれ理論価格に回帰すると判断し、その時点で先物と現物のうち割高な方を売り、割安な方を買って利益を得る取引(裁定取引)が行われることなどにより、先物価格と理論価格との乖離が短期間で解消される傾向にあります。
先物取引が現物価格に与える影響
先物取引は、将来の価格変動リスクをヘッジするための手段として利用することができます。商品先物取引が適切に活用されれば、生産者や流通業者、実需者の経営の安定に寄与します。一方、先物取引において、異常な投機的取引が行われると先物価格が高騰や急落し、米の需要に応じた生産や事前契約の取組を阻害する可能性があります。このため、農林水産省では、異常な投機的取引が行われないよう市場を監視監督しています。
先物取引のメリットとデメリット
先物取引のメリットとしては、価格の透明性が高まり、市場参加者が将来の価格を予測しやすくなることや、収穫前に価格を確定できるため、農家が安心して生産できることが挙げられます。また、価格変動リスクを抑え、安定した流通を可能にすることも期待されます。
一方で、先物市場では、「今後もっと値上がりする」と予想されると、買いが集まり価格が上がることがあります。お米を実際に持たずとも投資できるため、大口の投機筋が大量に買い注文を入れられることがあり、これにより、実際の需給とは関係なく価格が高騰する可能性があります。
まとめ
米の先物取引は、価格変動リスクをヘッジするための有効な手段であり、適切に活用されれば、生産者や流通業者、実需者の経営の安定に寄与します。しかし、異常な投機的取引が行われると、先物価格が高騰や急落し、米の需要に応じた生産や事前契約の取組を阻害する可能性があります。そのため、先物取引の仕組みやリスクについて十分に理解し、適切に活用することが重要です。

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