FXにおける裁定取引(アービトラージ)は、異なる通貨ペアの相関性を活用しながら低リスクを目指す戦略です。しかし、相関が崩れることや一時的な逆行によって、ポジションが思わぬ含み損を抱えるケースも少なくありません。本記事では、裁定取引が逆方向に動いた場合のリスク分散方法や、ポジション管理の実践例について解説します。
裁定取引における逆行とは何か
裁定取引では、たとえば「GBPCAD買い」と「EURCAD売り」のように、同じ通貨(この場合はCAD)を共通項として相関関係を活用します。ところが、市場の思惑や一時的なファンダメンタルズ要因によって、この相関が崩れることがあります。
たとえば、GBPCADが+1,000円の利益を出している一方で、EURCADが-8,000円と大幅に逆行すれば、合計損益は-7,000円になり、含み損状態に陥ります。
選択肢①:EURGBPの買いでヘッジ強化
このような状況で、EURGBP買いを追加するという選択肢は、GBPとEURのスプレッド自体に賭ける形になり、リスクを三角ヘッジとして分散する狙いがあります。
ただし、この手法ではEURGBP自体が新たな損失要因となる可能性もあるため、ポジション全体のバランスを精査した上での実施が重要です。
選択肢②:同じポジションをナンピンする
もう一つの選択肢は、元の「GBPCAD買い」と「EURCAD売り」をそのまま同数量で追加(ナンピン)することです。この方法では、相関が戻ったときに平均建値が有利になる効果があります。
しかし、資金管理が甘いとリスクが雪だるま式に増えるため、資金余力を見ながら段階的な追加を意識する必要があります。
実例:塩漬けポジションの救済と失敗例
あるトレーダーは、相関崩れで一時含み損10万円まで膨らんだものの、EURGBP買いを追加したことで1週間後に相関が戻り、全体として+2,000円で決済できたという事例があります。
一方で、同じようにナンピンを続けて資金が尽き、ロスカットに追い込まれたという失敗例も。「塩漬けが長引く=リスク蓄積」であることを忘れてはいけません。
アービトラージ戦略における管理のポイント
- 事前に相関係数やβ値を分析してからポジションを組む
- 最大許容逆行幅(例:-5,000円)を決めておく
- 通貨のファンダメンタルズ(例:金利、指標)を常に監視
- 裁定取引であっても、ストップロスの設定は有効
まとめ:戦略とリスク管理が生き残りの鍵
裁定取引は一見リスクの低い戦略に思えますが、市場は常に変動し、相関が一時的に崩れることは珍しくありません。逆行時のリスク管理を戦略に組み込むことが、安定的な運用を実現するポイントです。ポジションの追加かヘッジかは状況次第ですが、事前のシミュレーションと資金計画が損失拡大を防ぎます。

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