NISAはなぜ株式などのハイリスク商品を推奨するのか?制度設計の背景と正しい理解

資産運用、投資信託、NISA

日本政府が積極的に推進しているNISA(少額投資非課税制度)は、個人に投資を促す仕組みです。しかし「なぜわざわざハイリスクな商品に誘導するのか?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。本記事ではNISAの本質的な目的と、なぜリスクを伴う商品に注目が集まるのかを解説します。

NISA制度の基本と非課税メリット

NISAは、一定額までの投資に対して利益が非課税となる制度です。2024年からは新NISAとして制度が拡充され、年間最大360万円、非課税枠の生涯合計が1,800万円までと大幅に拡充されました。

この制度では、株式や投資信託などの金融商品が対象とされています。これにより、預金よりも高い利回りを目指す投資に税制優遇が与えられるようになりました。

なぜ国はハイリスク商品を奨励するのか?

一見、株式投資や投資信託はハイリスクに見えますが、NISAが想定しているのは長期・積立・分散投資です。これはリスクを抑えながら着実な資産形成を目指す戦略であり、短期的な値動きに左右されるギャンブル的な投資とは異なります。

また、日本では預貯金に偏る資産構成が続いており、資金が経済成長につながりにくい状況にあります。投資を通じて企業に資金を供給することは経済の活性化にもつながるため、政府としては資産を「眠らせる」のではなく「働かせる」方針を取っているのです。

ハイリスク=危険という誤解

リスクとは「不確実性」であり、「危険」や「損する可能性」と同義ではありません。長期分散投資であればリスクは一定程度まで抑えられ、逆に利回りが得られる可能性も高まります。

例えば、過去20年の日経平均株価の長期的な上昇や、S&P500を組み入れた投資信託の年平均リターンなどを見れば、預貯金と比べて効率的な資産形成が可能だったことがわかります。

ミドルリスク商品の選択肢も豊富

「NISA=ハイリスク商品ばかり」と思われがちですが、実は元本の変動が比較的少ないミドルリスクの商品も選べます。たとえば、バランス型投資信託や、国債を中心とした安定運用ファンドなどです。

つみたてNISA対象商品は、金融庁が選定基準を設けており、過度なリスクを含む商品は排除されています。初心者でも安心して積立できるよう設計されているのです。

他国の制度との比較

イギリスには「ISA(Individual Savings Account)」、アメリカには「Roth IRA」や「401(k)」といった制度があります。これらも株式や投資信託を中心に構成されており、日本のNISAと基本的な思想は共通しています。

どの国でも「自助努力による資産形成」が重視され、政府は税制優遇を通じて投資を後押ししています。したがって、日本だけが特別に「ハイリスク志向」というわけではないのです。

まとめ:リスクを知って適切に使えば強力な制度

「NISA=ハイリスク商品」という誤解は根強いですが、正しく理解すれば自分に合った商品を選ぶことができ、資産形成の強力な味方になります。

ミドルリスクの商品も多数存在し、初心者に向けたガイドラインや商品選定も整備されています。まずは少額からでも、自分のリスク許容度に合った商品選びを始めてみましょう。

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