物価が上がることや賃金が上がることが「経済の好循環」とされることに、違和感を持つ人は少なくありません。「同じ品質のものが高くなるのはおかしい」「安定した価格こそ理想では?」という疑問はもっともです。本記事では、なぜ現代経済において物価と賃金の上昇が“正義”とされるのか、その背景をわかりやすく解説します。
そもそも物価上昇(インフレ)とは?
インフレとは、物やサービスの価格が全体的に上がる現象を指します。たとえば、100円で買えたリンゴが150円になるようなことです。
この物価上昇が意味するのは単なる「値上げ」ではなく、経済全体の活動が活発化し、モノの需要が高まり、企業が価格を上げても売れる環境が整っているというシグナルでもあります。
なぜインフレは経済成長にとって良いとされるのか?
インフレが「好ましい」とされる背景には、経済にとって健全な成長を示すからという理由があります。物価が上がるということは、企業が商品やサービスに対して価格交渉力を持てるようになっているということ。そしてその売上が企業の利益となり、従業員の賃金上昇や設備投資につながります。
逆に、物価が下がる「デフレ」の状態では、企業の売上が減少し、人件費を抑制せざるを得なくなり、結果的に給与も上がらず、消費も冷え込むという悪循環が起こりやすくなります。
リンゴの例に見る「良いインフレ」と「悪いインフレ」
質問にあったように、「美味しいリンゴ」が登場して、みんながそれを買うことで平均価格が上がるのは“質的向上”による物価上昇であり、これは健全なインフレです。
一方で、原材料費やエネルギー価格の高騰によって「同じ品質のリンゴ」が150円になるのは、コストプッシュ型の“悪いインフレ”に近い現象です。この場合、消費者の満足度は変わらないのに支出が増えるため、生活が圧迫されやすくなります。
賃金上昇が物価上昇とセットで重要な理由
インフレが経済にプラスとされる条件には賃金の上昇が伴っていることが必要です。物価だけが上がって賃金が上がらないと、実質的な購買力は下がってしまいます。
日本が長年デフレに苦しんできたのは、企業が物価を上げられず、結果として賃金も上がらず、消費が低迷し、経済全体が停滞する「デフレスパイラル」に陥っていたためです。
なぜ「物価は上がる方がよい」とされているのか?
中央銀行(日本では日銀)や政府がインフレを目指すのは、将来的な経済成長や財政健全化を意図しています。特に日本のように高齢化が進む社会では、税収を安定させ、年金や医療などの社会保障制度を維持するために、物価と賃金のゆるやかな上昇は欠かせない戦略とされています。
目安とされるのは年2%程度のインフレで、これくらいであれば生活に大きな負担をかけずに経済を循環させられると考えられています。
まとめ
物価と賃金の上昇は、単なる「値上げ」や「コスト負担」ではなく、経済全体が活発に循環している証ともいえます。もちろん、供給不足や外的要因による急激な値上げ(悪いインフレ)には警戒が必要ですが、持続的な成長を目指すうえでの“ゆるやかな物価上昇”は、長期的には生活の安定と豊かさに繋がる可能性を秘めています。

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