SBI証券でS&P500に連動する投資信託を保有していると、売却時に「全額売却」を選択した際に想定よりも4%ほど少ない金額が表示されることがあります。この現象は一見すると高額な売却手数料のように見えますが、実際には別の理由によるものです。本記事では、売却時の金額が減る理由と、誤解されやすいポイントについて詳しく解説します。
投資信託の売却手数料は基本的に無料
SBI証券で取り扱われている多くのS&P500連動型の投資信託、例えば「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」などは、売却時の手数料(信託財産留保額)は0円です。つまり、運用会社側で売却時に直接手数料を差し引く仕組みはありません。
それではなぜ、売却画面で4%ほど少ない金額が表示されるのか? その原因は主に「基準価額のタイムラグ」と「評価損益」にあります。
基準価額とリアルタイム価格のギャップ
投資信託は株式とは異なり、リアルタイムで売買できる金融商品ではありません。売却を申し込んだ日(基準日)の終値に基づいて「基準価額」が翌営業日に計算されます。このため、売却時点での表示金額はあくまで「前日基準価額×保有口数」となっており、その後の市場動向によって実際の受取金額が上下する可能性があります。
たとえば、米国市場が前夜に4%下落していた場合、その影響が翌日の基準価額に反映され、受取金額も下がると予測されます。つまり、4%の差は手数料ではなく「相場変動の予測値」である可能性が高いのです。
元本との比較で錯覚する「減額」
もう一つの原因は、元本割れや含み損がある場合の錯覚です。売却画面では現在の評価額(基準価額に基づく)での売却金額が表示されますが、それが購入金額(取得単価)と比較して低いと、「4%減額された」と感じてしまいます。
特に定期積立などで複数回購入している場合、平均取得単価が上昇していることもあるため、保有額に対する評価額が低くなるタイミングでは、このような誤解が生じやすくなります。
実際の例:eMAXIS Slim S&P500の場合
2024年6月時点で、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の信託報酬は年率0.09372%と非常に低く、保有コストは年間でもごくわずかです。売却時の信託財産留保額も設定されておらず、SBI証券からも売却手数料は徴収されません。
ある投資家が10万円分を保有していたとして、前日の米国市場が3~4%下落した場合、売却画面で表示される見込み金額が96,000円前後になることがあります。これは、市場価格の下落予想を反映した結果であり、実際の手数料ではありません。
正しい判断のための注意点
- 売却時に表示される金額は「見込み額」である
- 手数料ではなく、前営業日の基準価額が影響している
- 売却指示を出した当日の基準価額で実際の受取額が決まる
- 元本割れが原因の場合もあるので、平均取得単価を確認することが重要
これらを理解することで、誤った「手数料が高い」という認識を避けることができます。
まとめ:売却金額の差額は相場変動を反映した見込み
SBI証券でS&P500連動型の投資信託を売却する際に表示される金額が元本や期待額よりも少なく見える場合、多くは「売却手数料」ではなく「相場の変動」や「評価損益」が原因です。実際には売却手数料は無料である商品が多いため、落ち着いて基準価額と保有状況を確認することが大切です。
今後も安心して資産運用を続けるために、商品ごとの仕組みや表示の意味を正しく理解することが、投資リテラシーの向上につながります。

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