RSI(Relative Strength Index/相対力指数)は、テクニカル分析において広く用いられているモメンタム系のインジケーターです。その計算式をよく見ると「なぜ分母が下降幅なのか?」という疑問が湧くことがあります。本記事ではRSIの構造を丁寧に解説し、なぜ下降幅(平均損失)が分母になるのか、その意味を実例を交えてわかりやすく説明します。
RSIの基本構造と計算式
RSIは次のようなステップで計算されます。
- 一定期間(例:14日)の平均上昇幅(Avg Gain)と平均下降幅(Avg Loss)を求める
- RS = Avg Gain ÷ Avg Loss
- RSI = 100 – (100 ÷ (1 + RS))
ここで注目すべきは「RS(相対力比)」が上昇幅 ÷ 下降幅で定義されている点です。つまり、RSが大きいほど「上昇の勢いが強い」、RSが小さいほど「下落の勢いが強い」ことを示します。
なぜ分母が下降幅(平均損失)なのか?
分母に下降幅を置く理由は、「現在の上昇の強さが、どれほどの下落圧力と比べて強いか」を測るためです。これはRSIの目的が単なる価格の上下を測るのではなく、買われすぎ・売られすぎを相対的に判断することにあるからです。
仮に分母を上昇幅にした場合、「現在の下落がどれだけ強いか」になり、これはRSIではなく別の“下降圧力指標”になります。
具体例で理解する:RSIの構造
例として、ある14日間での平均上昇幅が20、平均下降幅が10とすると。
RS = 20 ÷ 10 = 2
RSI = 100 – (100 ÷ (1 + 2)) = 100 – (100 ÷ 3) ≈ 66.67
これは「上昇が下降の2倍ある=買い優勢」と読み取れます。逆に、上昇幅が10で下降幅が20なら。
RS = 10 ÷ 20 = 0.5
RSI ≈ 33.33(売り優勢)
RSIが測っているのは「相対的な強さ」
RSIという名称の通り、単なる価格の変化量ではなく、過去の一定期間における上昇と下降のバランスを見ることが目的です。そのため、下降幅を基準にして、今の上昇が「相対的にどれだけ優位か?」を数値化しているのです。
この構造があるからこそ、RSIが「70を超えると買われすぎ」「30を下回ると売られすぎ」というようなシグナルに活用されるのです。
類似指標との比較:MACDやストキャスティクスとの違い
MACDは移動平均線の乖離を、ストキャスティクスは終値の位置関係を分析するのに対し、RSIはあくまで「強さ=上下動の比率」を重視するユニークな指標です。
特にRSIは相場の天井や底を探る際に使われやすく、短期トレードとの相性が良いとされています。反面、トレンドが強い相場では過熱状態が長く続くこともあるため、他の指標との併用が望まれます。
まとめ:分母が下降幅だからこそRSIは“相対力指数”として機能する
RSIの分母が下降幅(平均損失)であるのは、単に計算式の都合ではなく、「今の上昇の力が、過去の下落と比べてどれだけ強いか?」という本質的な問いに答えるためです。
上昇幅が分母になれば別の意味になってしまうため、RSIの設計としては下降幅であることが必然なのです。RSIの意義を理解した上で使うことで、より信頼性の高いテクニカル判断が可能になるでしょう。

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