株式投資の世界では、「配当取り」と呼ばれる戦略が注目を集めています。これは、配当金がもらえる権利確定日に株を保有して配当金を受け取り、すぐに株を売却するという方法です。一見すると確実に利益が出そうですが、実際には注意すべき点が多数存在します。この記事では、配当取り戦略の仕組みとリスクについて、具体例を交えながら解説します。
配当を受け取るための「権利付き最終日」とは
株主として配当金を得るには、権利付き最終日に株を保有している必要があります。この日の取引終了時点で株主名簿に名前が記載されることで、配当金の権利が得られます。
例えば、3月末決算の企業であれば、3月28日が権利付き最終日とされた場合、この日までに株を保有していれば配当金を受け取ることが可能です。
「配当落ち日」と株価の下落
配当金を受け取った翌営業日(権利落ち日)には、多くの場合、株価が配当金の分だけ下落します。これを「配当落ち」と呼びます。たとえば、1株あたり100円の配当がある銘柄が、権利付き最終日の終値で1,500円だったとします。翌日の寄付では理論上、1,400円程度に下がる可能性があります。
このため、配当を受け取ったとしても、売却時に含み損が発生することがある点に注意が必要です。
配当金には税金がかかる
配当金には通常、20.315%の税金がかかります。仮に10万円の配当金を受け取ったとしても、手元に入るのは約8万円程度にとどまります。
さらに株式売却時にも課税が発生するため、配当と値下がりで損益が相殺されても、税負担だけが残るというケースもあるため、節税面からも慎重な判断が求められます。
高配当銘柄でも需給によっては逆効果に
高配当株は人気が集中しやすく、権利付き最終日前後には価格が一時的に乱高下する傾向にあります。特に投資家の買いが集中すると、配当金以上の値下がりリスクが生じる場合もあります。
実際に、ある電力株で配当利回り4.5%が魅力とされていたものの、配当落ちで6%以上の下落があり、配当狙いの投資家が逆に損失を被った事例も存在します。
「配当取り戦略」が有効なケースとそうでないケース
短期的に売買する「配当取り戦略」は、以下のような条件下では比較的有効です。
- 相場全体が上昇トレンドにある
- 配当利回りが高く、かつ株価が安定している
- 保有期間中の値下がりリスクを十分把握している
一方、相場が不安定であったり、業績懸念がある銘柄では、配当以上の損失を被る可能性があるため、戦略としては慎重な検討が必要です。
まとめ:配当金狙いの売買は「儲かる」とは限らない
配当狙いで株を短期売買する「配当取り戦略」は、理論的には可能ですが、配当落ちによる値下がりや税金による実質利回りの低下などのデメリットが存在します。
長期保有で配当と株価上昇の両方を狙う方が、結果的に安定したリターンにつながるケースも多く見られます。目先の配当に惑わされず、企業の成長性や相場全体の動向を見極めながら、冷静な投資判断を行いましょう。

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