日本の財政運営では、政府が発行する赤字国債が“借金”として語られ、歳出削減や増税が正当化される場面がしばしば見られます。一方で、日本は対外的には世界最大の純債権国であり、外貨準備高も潤沢に保有しています。それにもかかわらず、なぜ国内の財政赤字ばかりが問題視されるのでしょうか。
国内債務は誰の借金なのか?「政府の借金=国民の資産」の構図
日本の赤字国債の多くは日本国内の金融機関や年金基金、日銀が保有しています。つまり、政府の“借金”の裏側には、民間の“資産”が存在します。これは「政府の負債=民間の金融資産」という通貨発行国の基本構造に基づくものです。
例えば、家計が銀行に預けたお金の一部が、銀行を通じて国債購入に使われ、政府支出に転換される。これは国民の資産形成と公共事業の両立を意味するわけです。
なぜ赤字を問題視するのか?「財政健全化」の政治的背景
赤字国債を問題視する最大の理由は、財政規律を保つという“建前”です。これは国際的な信用や格付け維持のためという側面もありますが、実際には国内の政策選択の正当化に使われることが多いです。
「財源がないからできない」という常套句は、福祉や教育予算、ベーシックインカムなどの導入を渋る根拠として頻繁に使われています。
なぜ対外資産より国内債務に焦点が当たるのか
日本は世界最大の対外純資産国であり、2023年時点でも約400兆円超の黒字を誇ります。これは政府が“破綻しない”という理屈の根拠にもなり得ます。
しかし、こうしたデータは一般に浸透しておらず、政治的にも“国民の危機意識”を保つ目的で、あえて国内赤字の側面ばかりが強調されている可能性があります。
MMT(現代貨幣理論)から見る国債と財政の見直し
MMT(Modern Monetary Theory)では、通貨発行権を持つ政府は財政破綻しないとされ、インフレ率こそが財政政策の制約とされています。これは従来の“赤字=悪”という見方とは一線を画します。
例えば、アメリカやイギリスではコロナ禍以降、積極的な財政出動が実施されました。赤字を恐れずに雇用や景気を優先した姿勢は、一定の成果を見せています。
日本の選択肢:本当に必要な財政運営とは
日本においても、“将来のために借金を減らす”という理念のもと、長年にわたり緊縮財政が続けられてきましたが、結果としてデフレと実質賃金の低迷が続いています。
真に必要なのは「将来世代が安心して暮らせる社会の構築」であり、単なる数字上の赤字削減ではありません。社会保障や教育、環境投資といった未来への投資は、赤字であっても検討されるべき分野です。
まとめ:財政の本質は国民の生活をどう豊かにするか
「借金=悪」という単純なフレームではなく、財政支出の目的とその効果を正確に評価することが求められます。国債をどう使い、誰のために何を成し遂げるのか。それが財政運営の本質であり、政治の役割です。
今後の選挙や政策判断においては、“数字”の裏にある“意図”を読み解く力が、私たち国民にも求められているのかもしれません。

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