株式投資において、取引所とPTS(私設取引システム)では、制度やルールが異なることがあります。特に話題になりやすいのが「値幅制限」に関する違いです。本記事では、アイスペックなどの銘柄におけるPTSでの値幅制限が4倍にならない理由について、具体的に解説します。
PTSと取引所取引の違いとは
PTSとは、証券取引所を介さずに証券会社などが運営する私設の株式取引市場のことです。SBIの「SBI PTS」やジャパンネクスト証券の「JNX」などが代表的な例です。
PTSはあくまで証券会社等が独自に提供している場であり、東京証券取引所などの公的なルール(例:値幅制限や特別気配ルール)は適用されないのが特徴です。
取引所の値幅制限とは?
東証などの公設取引所では、前営業日の終値に対して当日の取引価格の上限・下限が設定されており、これを「値幅制限」といいます。特別な条件を満たす場合、一時的にこの制限が「4倍」になることもあります(いわゆるストップ高/安の4倍化)。
これは、上場初日や急騰・急落銘柄などに適用されるもので、ボラティリティを吸収しつつ、投資家の売買機会を拡充するために運用されます。
なぜPTSでは4倍の値幅制限が適用されないのか?
PTSでは取引所と異なり、値幅制限の制度がそもそも存在しません。つまり、値幅を制限する基準そのものがPTSにはなく、あくまで参加者の売買によって価格が決定されます。
たとえば、アイスペック(例)で取引所側に値幅制限4倍が適用されたとしても、PTSでは独自の取引ルールに従っており、その影響は反映されません。PTSの価格形成は、需給とタイミング次第という非常にシンプルな仕組みです。
実際のアイスペックのPTS例と注意点
2024年や2025年など、話題になった銘柄の一つとして「アイスペック」が挙げられます。取引所では値幅制限が一時的に拡大されたのに対し、PTSでは通常の価格変動の範囲で推移しており、ギャップが生まれました。
このようなケースでは、「PTSの方が早く動く」「取引所よりも値が付きやすい」といった意見も出ますが、あくまで需給次第であるため、慎重な判断が必要です。PTSには板の厚みが薄いことも多く、急な値動きや誤発注にも注意が必要です。
投資家が知っておくべきPTS利用のポイント
- PTSでは値幅制限は設けられていない
- 4倍の値幅制限はあくまで取引所の制度
- PTSは夜間取引に有利だが、流動性の低さに注意
- 制度の違いを理解し、両方の市場の特徴を活かす戦略が重要
たとえば、夜間に好材料が発表された際、PTSで素早く売買を行い、翌営業日の寄り付き前にポジションを調整するなど、用途を明確にした利用が有効です。
まとめ:PTSは便利だが制度の違いに注意しよう
PTS取引は、時間外取引や柔軟な戦略構築において非常に便利な手段ですが、東証などの取引所と制度面で大きな違いがあることを認識しておきましょう。特に値幅制限やストップ高・安の扱いに関しては、混同せずに使い分けることが大切です。
アイスペックのような話題銘柄でPTSを利用する場合は、情報と制度の理解を十分に行い、リスク管理を怠らないようにしましょう。

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