親子上場という言葉を耳にすると、「おかしな仕組みでは?」と感じる方も多いかもしれません。実際に日本の資本市場ではこの形態に賛否が分かれ、近年では東証も対応に乗り出しています。この記事では、親子上場の構造とその是非、現実の事例を交えて分かりやすく解説します。
親子上場とは何か?基本の構図を押さえる
親子上場とは、親会社と子会社の両方が証券取引所に上場している状態を指します。例えば、親会社が東証プライムに上場し、その傘下にある子会社も別銘柄として上場しているケースです。
日本では有名な例として、トヨタ自動車(親会社)と豊田通商(子会社)、NTT(親会社)とNTTドコモ(かつての子会社)などがありました。
なぜ親子上場が行われるのか?企業側のメリット
親会社にとっては、子会社の株式を市場で売却することで資金調達ができるメリットがあります。また、子会社にとっては自社の株式を活用した資金調達や、経営の独立性を一定程度保てるといった利点もあります。
とくにITベンチャーやスタートアップでは、親会社が育てた事業を独立上場させることで、企業価値を高める戦略が取られることもあります。
親子上場における問題点とは?投資家からの批判
一方で親子上場には複数の課題があります。特に挙げられるのが以下の点です。
- 利益相反のリスク:親会社の意向が子会社経営に影響する可能性
- 株主の不公平感:親会社の意向でMBOや吸収が進むと一般株主が損をすることも
- 市場の資本効率が下がる:同じ企業グループ内で資本が重複し非効率とされる
実際、子会社の経営が親会社に忖度するケースも過去に見られ、ガバナンス(企業統治)の面で課題視されています。
日本における親子上場の規制と方向性
2022年4月の市場再編以降、東証は「上場会社グループにおける資本効率やガバナンスの改善」を促進しており、親子上場の見直しを強調しています。
この流れを受けて、大手企業でも子会社を上場廃止し完全子会社化する動きが広がっています。たとえば、ファーストリテイリングが子会社リンク・セオリー・ジャパンを完全子会社化するなどの事例があります。
海外の動向:親子上場は日本特有の文化?
米国や欧州では、親子上場は原則として避けられる傾向にあります。なぜなら、「資本市場の健全性」を重視する文化が根付いており、親会社による経営介入を忌避する風潮が強いためです。
そのため、日本の親子上場は「ガラパゴス的」とも指摘されることがあります。国際的な資本調達を見据えると、親子上場はむしろマイナスに働く可能性があるとも言えるでしょう。
まとめ:親子上場は“おかしい”かどうかは見方次第
親子上場は必ずしも「おかしい」仕組みではありませんが、株主の公平性やガバナンスの観点から課題も多い制度です。近年では、資本効率や企業統治の改善が重視される中、再編や上場廃止が加速しています。
今後の日本企業の経営戦略や資本政策を見ていく上で、親子上場の動向は注目すべきトピックの一つと言えるでしょう。

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