オルカンとS&P500、10年後に勝つのはどっち?国際分散投資の視点で徹底比較

資産運用、投資信託、NISA

投資信託の中でも特に人気が高いのが、全世界株式に分散投資する「オルカン(オール・カントリー)」と、米国を代表する株価指数「S&P500」に連動するファンドです。どちらを選べば10年後により高いリターンを期待できるのか、実際のデータや将来の見通しをもとに考察します。

オルカンとS&P500の基本的な違い

まず、投資対象の範囲が大きく異なります。
・オルカンは日本を含む全世界約50か国以上の株式を対象とし、先進国・新興国もカバーしています。
・S&P500は米国の代表的な大企業500社のみを対象にしており、主にテクノロジーや金融など米国経済を牽引する業種に偏りがあります。

つまり、オルカンは「分散重視」、S&P500は「成長重視」と言えるでしょう。

過去10年間の実績比較(2014〜2023)

直近10年ではS&P500が圧倒的な成績を出しており、年率平均リターンは約12%前後。オルカンはそれにやや劣り、年率7〜8%程度にとどまる年が多く見られます。

たとえば、2020年のコロナ禍明けでは米国の大型テック株が急上昇し、S&P500が大きく伸びました。一方で、新興国の低迷や為替の影響を受けるオルカンは比較的パフォーマンスが控えめでした。

今後10年はどうなる?米国集中と世界分散のリスク

過去の実績が未来を保証するわけではありません。特に今後10年は、米国経済が常に世界のトップとは限らない可能性があることに注意が必要です。

中国やインドをはじめとする新興国の成長、ヨーロッパの再編、そして気候変動対策や技術革新がどの地域に恩恵をもたらすかによって、オルカンのような全世界投資が優位になる場面も想定されます。

為替リスクと地政学リスクの分散というメリット

S&P500は基本的に米ドル建てで運用されるため、為替リスクをそのまま受けることになります。一方、オルカンは多通貨分散されており、円ベースで考えたときのリスクヘッジとして機能する場面もあります。

また、米国一極集中の地政学リスク(例:米中対立、金融政策の急転など)を避けたい場合は、オルカンのような多国籍投資が心理的にも安心です。

将来的にオルカンがS&P500に勝つ可能性

「勝つ」とはリターンが上回ることを意味しますが、これは状況次第です。・米国株が長期的に伸び悩む
・新興国が力強く成長する
・為替の円高局面が続く
といった条件が揃えば、オルカンがS&P500を上回る可能性は十分にあります。

逆に、今後もGAFAを中心とした米国企業が世界を牽引し続ければ、S&P500の方がリターンは高くなるでしょう。

分散投資の考え方とポートフォリオ戦略

投資の基本は「卵を一つのカゴに盛らない」こと。S&P500とオルカン、どちらか一方に賭けるのではなく、両方を組み合わせて自分のリスク許容度に応じた配分を行うことが現実的です。

たとえば、米国の成長を信じるが世界にも目を向けたい人は「S&P500:オルカン=6:4」や「7:3」といった形も考えられます。

まとめ:10年後に差が出るのは「成長力」か「分散力」か

オルカンとS&P500の比較は、成長率を取るか、安定と分散を取るかの選択でもあります。将来の世界経済がどう動くかによって勝者は変わりますが、どちらも長期投資にふさわしい商品であることに変わりはありません。

明確な正解はなく、自分の投資目的・リスク許容度に応じて判断することが最も重要です。

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