成長期待の高いグロース株は、一般的にPER(株価収益率)が高くなる傾向にあります。しかし、来期の業績が減益予想となると、その評価の見直しが迫られます。本記事では、来期減益となるグロース株において「適正なPER水準」とは何か、どのように判断すべきかをわかりやすく解説します。
PERとは何か?基本を再確認
PER(Price Earnings Ratio)は、株価を一株当たり利益(EPS)で割ったもので、「株価が利益の何倍で評価されているか」を示す指標です。PER = 株価 ÷ 一株当たり利益(EPS)
たとえば、株価が2,000円でEPSが100円ならPERは20倍。PERが高いほど将来の成長期待が織り込まれているとされますが、過大評価のリスクも伴います。
グロース株とPERの関係
グロース株は通常、今後の成長が見込まれるため、利益に対して高いPERでも買われます。例えば、ITや医療関連、脱炭素など成長テーマが明確な業種では、PER30倍〜50倍でも「割高とは言えない」と判断される場合もあります。
しかし、来期の業績が減益見通しとなった瞬間、その成長期待が揺らぎ、PERの高さが逆にリスク要因として評価されます。
来期減益時にPERをどう見るべきか
来期が減益予想のグロース株に対しては、以下の3つの観点からPERを再評価するのが基本です。
- 成長の一時的後退か、構造的な失速か
- 市場の期待がすでに織り込まれているか
- 他のグロース株と比較して割安か
一時的な減益(原材料費高騰や為替影響など)なら、PER25倍程度でも許容されるケースがありますが、構造的な衰退が懸念される場合は、PER10〜15倍まで売られる可能性もあります。
適正PERの目安と実例
一般的な目安としては以下の通り。
- 減益幅が小さく一時的 → PER20〜25倍
- 業績見通し不透明だが成長テーマ健在 → PER15〜20倍
- 成長鈍化・競争激化などリスク増 → PER10〜15倍
例:某ITグロース株A社:過去3年はPER35〜50倍で推移。来期は営業利益が20%減少予想となり、PERは35倍→18倍まで縮小。市場は成長鈍化を織り込み、株価は調整したが、その後のリバウンドにより再評価も。
例:製造業グロース株B社:利益が横ばいにもかかわらずPERが40倍→30倍に低下。これは市場が「割高」と判断し始めた結果で、来期も減益予想が続けば、さらに20倍台まで下がる可能性があります。
他の指標もあわせて活用する
PERだけではグロース株の本質的な価値を判断するのは難しいため、PEGレシオ(PER ÷ 成長率)やPBR(株価純資産倍率)など他の指標も活用しましょう。
特にPEGが1倍以下なら割安とされ、成長率を考慮した評価が可能です。
まとめ:減益でも未来の成長を読む力が鍵
来期減益のグロース株に対する適正PERは、単に数値だけで語るのではなく、「なぜ減益か」「その後はどうなるか」という定性的な判断が重要です。市場が一時的な不調と捉えるなら、20〜25倍程度でも合理的とされますが、成長の終焉と見なされる場合は10〜15倍まで下がる可能性も。冷静なファンダ分析を心がけましょう。

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