為替相場において、一定の価格帯を上下に繰り返す「レンジ相場」は珍しくありません。2023年以降のドル円相場も例外ではなく、1ドル=142円〜145円あたりを行ったり来たりする状況が続いています。これは一見すると不可解に感じられますが、実際には経済・金融政策・市場心理などの要因が複雑に絡み合って起きているものです。本記事では、その背景をわかりやすく解説します。
レンジ相場とは?基本を理解しよう
レンジ相場とは、価格が一定の上下幅(レンジ)にとどまって推移する相場のことです。たとえば、ドル円相場でいえば142円〜145円がレンジであれば、その範囲内で上がったり下がったりを繰り返す状態が続きます。
この状態では、トレンドが明確に発生しないため、長期投資家よりも短期トレーダーにとって有利な相場となることが多いです。
金利差による影響が価格帯を固定している
現在の為替相場に大きな影響を与えているのが「米国と日本の金利差」です。アメリカはインフレ抑制のために高金利政策を維持しており、一方で日本は長らくゼロ金利政策を続けています。この金利差がドル買い・円売りを後押しし、ドル高の水準を支えているのです。
しかし、ある程度の水準を超えると輸出企業などからのドル売り・円買いも増えるため、相場が142〜145円のあたりで抑えられやすくなっています。
日銀とFRBのスタンスに注目が集まる
金融政策の観点では、日銀が今後利上げに踏み切るかどうか、またFRB(米連邦準備制度)が利下げに動くかどうかが注目ポイントです。これらの変化があれば相場の均衡が崩れ、レンジからブレイクする可能性があります。
実際、過去にはFRBの発言一つでドル円が急変動したケースもあり、相場は常に「政策期待」で動いているとも言えます。
市場心理とテクニカル分析の影響
市場参加者の多くがテクニカル分析を基に売買を行っているため、142円と145円という節目が「意識されやすい価格帯」となっています。これにより、売買の注文が集中しやすく、結果としてその範囲に収まりやすい状態が生まれます。
例えば、145円に近づけば売り圧力が高まり、142円に近づけば買いが入りやすいという構図です。これは需給バランスが形成する自然な現象です。
企業活動や実需の動きも価格を安定させる
為替相場は投機筋だけでなく、輸出入企業の「実需」によっても動かされます。特に大企業は予想為替レートに基づいた取引計画を立てており、急激な変動を嫌う傾向にあります。
このため、142〜145円が企業にとって採算の取れるレートである場合、その水準での売買が集中し、結果として相場がその範囲に留まりやすくなるのです。
まとめ:相場が動かないのには理由がある
ドル円が142〜145円で停滞しているのは、金利差、政策期待、テクニカルな節目、市場心理、企業の実需などが複合的に作用した結果です。
このレンジがいつまで続くかは誰にも断言できませんが、日銀やFRBの金融政策の転換や突発的な経済イベントがあれば、次の動きが見えてくるかもしれません。
為替相場において「動かない理由」を読み解くことも、重要な分析スキルの一つです。特定の価格帯が続くときこそ、慎重な観察と準備が求められます。

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