NISAで始める毎月積立投資の仕組みと“複利”の正しい理解

資産運用、投資信託、NISA

近年、多くの人がNISAを活用して積立投資を始めるようになりました。特に「オルカン」(全世界株式インデックスファンド)への毎月定額積立は人気の選択肢の一つです。しかし、「複利とは?」「毎日複利で増えるの?」といった疑問を持つ人も少なくありません。本記事では、積立投資における複利の基本や、日々の基準価額の動きとの違いを丁寧に解説します。

複利とは?投資における基本概念を理解しよう

複利とは、「運用で得られた利益を元本に組み入れて、さらにその元本+利益を運用する」という考え方です。銀行の利息でいうと、利子が元本に組み込まれて、次回の利子はその「増えた元本」に対して付きます。これを投資信託に当てはめると、「分配金再投資型」の商品であれば、得られた配当(分配金)も自動的に再投資され、複利効果が働きます。

ただし、日々の値動き自体が「複利で回っている」わけではない点は重要です。投資信託は日々の基準価額(価格)が変動することで資産が増減しますが、その値動きが複利のように一定して増え続けるわけではありません。

基準価額とは?価格変動のしくみ

投資信託の基準価額とは、投資信託1万口あたりの時価評価額のことを指します。投資先の株価や為替の動きによって毎営業日変動し、投資信託の成績を表す指標となります。

たとえば、オルカンを5,000円分購入した翌日に、基準価額が上がれば自分の持ち口数の評価額も上がり、5,004円、5,009円というふうに見えることがあります。これは複利によって自動で増えているのではなく、マーケットの動きによる一時的な変化です。

毎日の値上がり=複利ではない?混同しがちな点

投資初心者がよく誤解するのが、「日々資産が増えている=複利で増えている」という認識です。実際は、日々の値上がりは市場全体の動きによるものであり、再投資された利益がさらに利益を生むという「複利」の仕組みとは別の話です。

実際に複利が働いてくるのは、「配当金を再投資する」「運用期間が長期に及ぶ」など、資産の増加が元本に組み入れられ、それをさらに運用し続けたときです。

オルカンなどの投資信託で複利効果が働く条件

「分配金を受け取らずに再投資すること」と「長期保有」が、複利効果を活かす鍵です。NISAやつみたてNISAで購入できる多くのインデックスファンド(例:eMAXIS Slim 全世界株式〈オール・カントリー〉など)は、配当金を分配せず自動で再投資する仕組みになっています。

したがって、投資信託自体は複利的に資産を増やしていく構造にはなっていますが、それが「毎日」見える形で現れるわけではありません。むしろ短期では上下を繰り返しながら、長期的に右肩上がりのトレンドを描くのが一般的です。

具体例:月5,000円を20年間積立した場合のシミュレーション

たとえば、月5,000円を20年間積み立て、年利5%で運用した場合の総資産は約1,980,000円になります。このうち、積立元本は1,200,000円、複利効果による利益が約780,000円です。

項目 金額
積立元本 1,200,000円
運用益(複利効果) 約780,000円
合計資産 約1,980,000円

このように、短期的な価格の上げ下げではなく、長期にわたる運用が複利の威力を引き出すのです。

まとめ:日々の値動きよりも「継続」と「再投資」が重要

投資信託における「複利効果」は、毎日の値上がりとは異なるものであり、「利益を再投資して、それがさらに利益を生む」ことによって成立します。NISAで始めた月5,000円の積立も、日々の価格の上下に一喜一憂せず、長期的な視点で継続することが何より大切です。

「日々の値動きは“変化”であり、複利効果は“仕組み”」。この違いを理解すれば、投資信託をより安心して活用できるでしょう。

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