FX取引において、異なる通貨ペアを用いた両建て(ポジションのヘッジ)は、戦略的なリスク分散手法のひとつとして注目されることがあります。中でも「豪ドル円買い」と「ニュージーランドドル円売り」は似た動きをする通貨を逆方向で持つ手法ですが、果たして安全なのでしょうか。本記事ではそのリスクと活用方法について詳しく解説します。
豪ドルとNZドルの相関関係とは
豪ドル(AUD)とニュージーランドドル(NZD)は、いずれも資源国通貨として知られ、経済構造や金利政策が似ているため、非常に高い正の相関関係があります。つまり、両者は似たような値動きをする傾向があります。
過去の統計データでも、AUD/JPYとNZD/JPYの相関係数は0.9以上になることが多く、両建てにしてもポジションが相殺されにくく、実質的には方向性のあるポジションとなってしまうリスクがあります。
なぜ「両建て」に見えて実は片張り?
「豪ドル円買い+NZドル円売り」の両建ては、一見するとリスクヘッジになっていそうですが、通貨ペアの値動きが似ているため、実際は相関差益(オージーキウイ:AUD/NZD)のポジションを取っているのと同じ構造になります。
つまり、AUDがNZDよりも強く動くと利益が出ますが、逆にAUDが弱くなると損失が拡大する可能性があるため、「両建て」としては成立していません。
実例:相関差が逆転したときの影響
たとえば2020年のコロナショック後、NZドルは経済の早期回復と政策金利の見通しの影響で、豪ドル以上に買われました。このような局面で「豪ドル円買い+NZドル円売り」のポジションを取っていた場合、両方のポジションがマイナスになってしまうこともあり得ます。
このように、見かけは「両建て」でも、価格差が広がることでリスクが倍増するケースがあるのです。
リスク管理と戦略のポイント
- 相関性の高い通貨ペアの両建ては、「裁定取引」ではなく「スプレッド取引」として理解すべき
- ポジションの意図を明確にし、なぜこの両建てをするのか目的を整理する
- 経済指標や中央銀行の金融政策(RBAとRBNZ)の動向を注視する
- スワップ金利差にも注意:NZDはAUDより金利が高いことが多く、スワップがマイナスになる可能性あり
この両建て戦略を使うべき状況とは
この両建てを使う場合は、「AUD/NZDのスプレッドを狙う中期トレード」として設計するのが一般的です。たとえば、豪州経済がNZに比べて回復しそうな局面で、豪ドル高・NZドル安を狙う意図があるなら合理的な戦略になり得ます。
ただし、初心者や短期トレーダーには向かないポジション設計のため、明確なシナリオとリスク許容度が必要です。
まとめ:両建てに見えるが実は片張りに注意
「豪ドル円買い+NZドル円売り」は、相関性が高いために両建てのように見えて、実は豪ドルとNZドルの強弱に賭けている片張りのトレードです。
戦略として利用するには、相関差やスワップポイント、金利政策をしっかり理解した上で判断することが大切です。
両建てだから安全と思い込まず、戦略の本質を理解してリスク管理を徹底しましょう。

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