日本の伝統的なローソク足分析「酒田五法」は、江戸時代から続く相場観の結晶とも言える手法です。中でも有名なパターンである「三兵」と「三法」は、現在でもチャート分析に取り入れられることがありますが、実戦ではそのまま使うと失敗するケースも。この記事ではそれぞれの特徴と注意点、そして現代的な活用方法までを詳しく解説します。
酒田五法とは何か?
酒田五法とは、江戸時代の米相場で活躍した本間宗久によって体系化された、ローソク足を使った売買判断法です。五法とは「三山」「三川」「三兵」「三法」「酒田罫線」を指しますが、今回は実戦で特に取り上げられる「三兵」と「三法」に注目します。
現代のテクニカル分析とは異なり、相場の“気配”や“勢い”を重視するのが特徴です。そのため、トレンドの初動や終盤での判断に使われることが多くなります。
三兵とは?パターンの構成と特徴
三兵には「赤三兵(陽線)」と「黒三兵(陰線)」があります。たとえば「赤三兵」は、3本の連続した長い陽線で構成され、トレンド転換や上昇初動のサインとされます。
しかし、三兵が出現したタイミングがすでに相場の天井圏である場合、“先っぽ買い”になるリスクが高く、そこから反落するケースも。特に最近のボラティリティの高い相場では、“だまし”に終わる例も少なくありません。
たとえば2022年のビットコイン相場では、三兵が出た後に続伸せず、すぐに調整局面へ入ったケースがありました。ローソク足だけに頼らず、出来高や移動平均線との位置関係も確認しましょう。
三法とは?信頼性の高いトレンド継続サイン
三法は、トレンドの継続を示すパターンで、「上昇三法」「下降三法」があります。たとえば上昇三法では、1本目の陽線に続き、2〜4本の小幅な陰線が続き、5本目で再度大陽線が出るパターンです。
このパターンは“押し目”として機能することが多く、トレンド継続の信頼度が比較的高いとされています。特に包み足やはらみ足が含まれる場合は、より明確な転換点と見なされることがあります。
実例として、2023年の日経平均株価が上昇していた局面では、上昇三法が形成されたあとに実際に続伸する動きが見られ、トレンドフォロー戦略に役立ちました。
三兵と三法の違いと使い分け
三兵は“転換”を捉えるためのパターンであるのに対し、三法は“継続”を確認するためのパターンです。そのため、三兵は逆張りに、三法は順張りに使われることが多いと言えるでしょう。
しかし、三兵の判断はタイミングが非常に重要です。特に高値圏での赤三兵はだましに終わることが多いため、ボリンジャーバンドのエクスパンションやMACDなどの併用が推奨されます。
一方の三法は、相場が落ち着いているときの押し目や戻りとして使いやすく、リスクが比較的限定的です。
チャートの総合判断がカギ
どちらのパターンも、単独で完璧に機能するわけではありません。RSIや移動平均線、出来高分析、需給情報などと組み合わせて初めて高精度の判断が可能となります。
また、酒田五法のロジックを完全に再現したシステムトレードは少なく、多くのプロは“参考情報”として活用しています。
まとめ:三兵は慎重に、三法は信頼性高め
酒田五法の「三兵」はその名の通り勢いのあるパターンですが、出現位置によってはだましも多く慎重な判断が求められます。一方「三法」は、トレンド継続の確認に有効で、比較的信頼性の高いシグナルといえます。
どちらのパターンも、他のテクニカル指標と組み合わせて使うことで、より実践的な武器になります。伝統的な知識を現代に活かす、その柔軟な視点こそが勝率を上げる鍵となるでしょう。

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