完全子会社化とは?株式100%取得の仕組みと少数株主への影響をわかりやすく解説

株式

企業買収や経営統合において「完全子会社化」「株式100%取得」というニュースを見かけることがあります。これは一体どういう仕組みで行われ、一般の株主にはどのような影響があるのでしょうか?今回は、上場企業の完全子会社化に関する基本知識を、実例を交えてわかりやすく解説します。

完全子会社化とは?基本的な定義と目的

完全子会社化とは、ある企業(親会社)が別の企業(子会社)の発行済株式を100%保有する状態にすることです。これにより、子会社は株主が親会社だけとなり、完全に支配下に置かれます。

主な目的としては、経営の効率化、情報共有の簡略化、少数株主の意見を排除して迅速な意思決定を可能にするなどがあります。

なぜ少数株主の同意なしに株式が取得されるのか

完全子会社化のプロセスには、法的に認められた手続きが存在します。その一つが「株式売渡請求(スクイーズアウト)」です。親会社が子会社の議決権の90%以上を取得していれば、他の株主に対し株式の強制取得を請求することが可能になります。

この場合、少数株主は拒否できませんが、公正な価格での買い取りが法律で定められており、異議を申し立てれば裁判所に価格の決定を求めることもできます

どのような方法で100%取得が実現されるのか

株式の100%取得は主に以下のような手段で行われます。

  • TOB(公開買付)での株式取得
  • 株式併合による1株未満株主の排除
  • 株式交換・株式移転による統合
  • 株主総会での特別決議による売渡請求

たとえば、2021年に行われたLINEとZホールディングスの経営統合では、株式交換によりLINEは完全子会社となり、上場廃止となりました。

少数株主は損をするのか?

買い取り価格は、一般的にはTOB価格や株式交換比率などをもとに、過去の市場価格や財務状況などを加味して決められます。証券取引等監視委員会や金融庁も監視しており、不公正な価格での強制売却は違法とされます。

ただし、市場価格より大幅に低い価格が提示された場合には異議申し立ての権利があり、裁判所を通じて「価格決定の申立て」が可能です。

完全子会社化にともなう注意点

一般投資家としては、以下の点に注意が必要です。

  • TOBが発表されたら、その買付条件をよく確認する
  • 強制取得される場合、異議申し立ての期限を確認
  • 一部の制度信用取引ではTOB中の建玉の扱いが制限される

特に、上場廃止が伴う場合には、今後その銘柄が売買できなくなるため、売却のタイミングに注意が必要です。

まとめ:株式取得には法的な根拠と株主保護の仕組みがある

完全子会社化は企業の経営戦略として行われるものですが、株主には価格の保護や異議申立ての権利も法律で保障されています。

ニュースを見て不安に感じた場合は、金融庁金融ADR制度のサイトで制度の概要を確認し、冷静な判断を心がけましょう。

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