新NISAの拡充や退職所得控除の「5年ルール⇒10年ルール」改正を受けて、「iDeCoをこのまま続けるべきか、それとも止めるべきか?」と迷っている方も多いのではないでしょうか。特に公務員や退職金のある方は、税制メリットの減少に悩まれるケースが増えています。本記事では、iDeCoを最小拠出で継続する場合と、いったん運用指図者になる場合の比較、そして退職金との税制調整について解説します。
なぜ今、iDeCoを見直す人が増えているのか?
2024年から新NISAが拡充され、年間360万円の投資枠が非課税で使えるようになりました。これにより、「iDeCoよりもNISAのほうが使いやすく、いつでも引き出せる」という理由でNISAを優先する人が増えています。
さらに2022年の税制改正で、退職所得控除に適用される『5年ルール』が『10年ルール』へ変更されました。これにより、退職金とiDeCoを数年ずらして受け取っても、退職所得控除が通算されるリスクが増し、節税効果が薄れる場合があります。
iDeCoを月5,000円で継続するメリット・デメリット
iDeCoを月5,000円で続ける最大のメリットは、少額でも毎年の所得控除が受けられる点です。年60,000円の拠出で、所得税+住民税を合わせて約10,000〜15,000円の節税効果が見込めます(年収500万円前後の場合)。
また、iDeCo内での運用益は非課税のまま複利で増えていくため、長期で積立を続ければ老後資産としては心強い存在になります。一方で、60歳まで引き出せないため、流動性は極めて低く、生活の変化に柔軟に対応できないデメリットがあります。
運用指図者になる選択肢とその活用法
拠出を止めても、iDeCoを完全に解約することはできませんが、「運用指図者」として今ある資産の運用は継続できます。その間、新NISAなどより自由度の高い制度に資金を回すことで、ライフイベントに合わせた柔軟な資産形成が可能です。
たとえば、30代で住宅購入や子育て資金などの支出が増える時期はNISA中心に運用し、40代や50代で家計に余裕が出てから再びiDeCoへの拠出を再開するという形です。
60歳でiDeCo、63歳で退職金受け取り時の税制シミュレーション
iDeCoと退職金はどちらも「退職所得」として課税されます。退職所得控除は『勤続年数×40万円(20年以下)+(21年目以降は70万円)』という式で計算されます。
例えば、60歳でiDeCoを一括受取(300万円)、63歳で退職金(2000万円)を受け取る場合、5年超の間隔があればそれぞれに退職所得控除が個別適用されます。
ただし、今回の税制改正後では、退職所得が10年以内に重なると“通算される”可能性が高く、iDeCoと退職金の控除額が一体計算されてしまう恐れがあります。このため、受け取り時期の分散が以前より難しくなっています。
具体的な対応例:公務員32歳・定年65歳のシナリオ
・現在:iDeCo月12,000円 → 新NISA優先のため拠出停止
・35歳:運用指図者として維持、NISAで年間240万円の投資
・45歳:教育費の負担が落ち着き、iDeCoを再開(月23,000円)
・60歳:iDeCoを年金形式で分割受取(税負担を抑える)
・65歳:退職金を一括で受け取る
このように、受取時期を「年金受け取り形式」にすることで、iDeCoと退職金の税負担が重ならないよう分散できる可能性があります。
まとめ:ライフプランに合わせた制度の組み合わせが重要
iDeCoは確かに税制メリットが魅力ですが、受け取り時の課税ルールや流動性を考えると、必ずしも「続けること」が正解ではありません。
新NISAを活用しつつ、ライフステージごとに拠出額を見直すことで、より柔軟で実効性のある資産形成が可能になります。特に退職所得控除の調整を意識した受け取り戦略を立てることが、税金を最小化し、老後資金を最大化する鍵になります。

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