生産者余剰と消費者余剰の求め方をやさしく解説|価格規制と市場均衡の経済学入門

経済、景気

経済学では、需要曲線と供給曲線を用いて市場の動きや効率性を分析します。その中でも「生産者余剰」と「消費者余剰」という概念は、市場のメリットや規制の影響を考えるうえで欠かせません。この記事では、需要曲線d=180-p、供給曲線s=0.8pのもと、価格が固定された場合の各余剰の求め方を初心者向けに丁寧に解説します。

需要と供給の関係をグラフで理解する

需要曲線d=180-pは、価格が1上がると需要が1減る直線です。供給曲線s=0.8pは、価格が1上がると供給が0.8増える右上がりの直線です。この2つの直線の交点が「均衡価格・均衡数量」となります。

需要と供給をグラフ化してみると、需要曲線はy切片180、供給曲線は原点を通ります。需要曲線と供給曲線が交わる点を基準に、価格を変動させたときの市場の変化を考えていきます。

ケース①:価格90のときの生産者余剰を求める

価格p=90のとき、供給量はs=0.8×90=72です。生産者余剰とは、供給曲線と価格ラインに囲まれた三角形の面積です。

供給曲線はs=0.8pなので、p=0のときs=0、p=90のときs=72。つまり、三角形の高さは90、底辺は72。したがって生産者余剰は
1/2 × 72 × 90 = 3240になります。

これは「供給量が生産者余剰を超えられない」という誤解を正す好例です。単位が異なり、供給量は個数、生産者余剰は金額(円)です。

ケース②:価格108での規制時に消費者余剰を求める

このとき供給量は0.8×108=86.4、需要量は180-108=72となり、実際の取引量は需要量である72に制限されます。消費者余剰とは、需要曲線の上部と価格ラインに囲まれた三角形の面積です。

三角形の高さは180-108=72、底辺は72なので
1/2 × 72 × 72 = 2592円が消費者余剰となります。

価格規制により、需給が一致していない点にも注目しましょう。供給は多いのに需要は少なくなるため、需給ギャップ(余剰在庫)が発生します。

生産者余剰と消費者余剰の違いを再確認

消費者余剰とは、消費者が「払ってもよい」と思う最大価格と実際に支払った価格の差の合計です。

生産者余剰は、売り手が「この価格なら利益が出る」と思える最低価格と、実際に得た価格の差の合計です。両者は価格ラインとそれぞれの曲線の間の面積で表されます。

実際の問題で注意すべきポイント

  • 供給量や需要量は「個数(または数量)」であり、余剰とは単位が違う
  • 供給曲線の始点が原点の場合、余剰の計算は単純な三角形
  • 価格規制が入ると、取引量が需要か供給のどちらかに制限される

特に初心者が間違いやすいのは、「数量」と「金額(余剰)」を混同する点です。値を比較する際には単位を確認しましょう。

まとめ:数量と余剰の違いを理解して正確な計算を

経済学における「余剰」の概念は、市場の効率性や規制の影響を理解する上でとても重要です。数量とは異なる「面積=金額」の指標であることを意識することで、混乱を避けられます。

今回のケースのように、供給量が72でも生産者余剰が3240円になるのは全く自然なこと。初心者でも、この違いをおさえるだけでグッと理解が深まります。

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