企業への投資を行うファンドが、自らの人材を投資先企業の取締役に就任させるケースは珍しくありません。単なる経営監視にとどまらず、戦略的な意図が背景にあることが多いのです。この記事では、投資ファンドが取締役に就任する主な理由や目的、実際に起きている事例についてわかりやすく解説します。
なぜファンドは投資先企業の経営に関与するのか
投資ファンドは、出資した企業の価値を高めてリターンを得ることを目的としています。したがって、経営に直接関与することで企業価値を向上させたいという動機があります。
たとえば、経営方針の改善、財務体質の健全化、M&Aの推進などを行うには、外部からの監視だけでは不十分な場合があるため、取締役として意思決定に関与する必要があります。
取締役就任による「ガバナンス強化」の役割
ファンド出身者の取締役就任は、いわばガバナンス(企業統治)の強化の一環です。社外の立場から中立的かつ戦略的な視点で経営をチェックできるため、経営の透明性向上や経営陣の暴走抑止にもつながります。
実際、企業統治の国際的ガイドラインでも、主要株主が取締役会に加わることは企業の中長期的成長に資するとされています。
現場への圧力ではなく「出口戦略」の布石
ファンドが現場に「売上を上げろ」とプレッシャーをかけるためだけに取締役に就任するわけではありません。むしろ、最終的に企業を上場(IPO)させる、または他社に売却するという出口戦略を見据えて、戦略的に関与していることが多いのです。
たとえばPEファンド(プライベート・エクイティ・ファンド)は、投資先企業の再建・強化を通じて企業価値を高め、3~5年以内のエグジットを目指すのが通例です。
実例:PEファンドが関与した企業再建の成功例
ある地方中堅メーカーにPEファンドが投資し、経営陣の刷新とガバナンス改善を実施。その際、ファンドの担当者が社外取締役に就任し、収益モデルの見直しや生産効率の改善に貢献しました。
結果として3年後に業績が大きく改善し、他社に高値で売却されることに成功。ファンドにとっても企業にとってもWin-Winの結果となった例です。
就任による弊害や「なあなあ経営」の懸念はあるのか
ファンドの関与が長期化したり、経営陣と過度に癒着した場合には「なあなあ経営」や経営硬直化のリスクもゼロではありません。ただし、通常は数年での売却を見据えた短期関与であるため、目的志向の経営改革が行われる傾向が強いです。
また、金融庁のコーポレートガバナンス・コードにもとづき、社外取締役や第三者評価を取り入れることでバランスを保つ事例も増えています。
まとめ:ファンド取締役就任は経営改善のための手段
投資ファンドの人物が取締役に就任するのは、単なる監視役や「うるさい存在」ではなく、企業価値の向上という明確な目的をもった戦略的な動きです。短期の収益改善だけでなく、中長期の成長を視野に入れた経営支援が期待されるケースが多く、企業側にとっても大きなメリットとなる可能性があります。

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