経済学の基本となる「需要曲線」。教科書では右下がりの曲線として登場し、「価格が高いほど需要量が少なく、価格が低くなると需要が増える」という原則が示されます。では、そのグラフの“左上”にあたる部分はどのように解釈すればよいのでしょうか?「高くても欲しい!でも数は少ない」という直感的な理解には、実は経済学的に重要な意味が含まれています。この記事では、需要曲線の左上の読み解き方と、それが市場に与える影響をわかりやすく解説します。
需要曲線の基本構造:なぜ右下がりになるのか
需要曲線は「価格」と「需要量」の関係を示すグラフで、通常は右下がりの形状をしています。これは次のような理由によるものです。
- 代替効果:価格が上がると他の安い商品に需要が移る
- 所得効果:価格が上がると、実質的に買える量が減る
このため、高価格では需要が少なく、低価格になると需要が増える傾向が見られるのです。
左上の点:「高くても欲しい!」という需要の意味
需要曲線の左上は、「価格が高い=需要量が少ない」ことを表します。つまり高い価格でも買う人はいるが、数は限られているという状態です。
これは必ずしも「需要が少ない」という意味ではなく、「高価格でも購入を希望する強いニーズ(=価格弾力性が低い需要)」を持つ消費者が存在することを意味しています。例えば次のようなケースが該当します。
- 医薬品などの必需品(命に関わるため価格に関係なく必要)
- ブランド品や限定商品(高価格に価値を見出す層が存在)
このような商品は、価格が高くても「欲しい」という需要が残るため、左上の点に存在するのです。
需要が「少ないから」ではなく「価格が高いから」少なくなる
誤解されやすいのが、「需要が少ないから左上にある」という考え方です。実際には、価格が高いために需要量が減っているのであり、「欲しい人はいても、手が出せる人が少ない」というのが実情です。
たとえば、1台100万円のスマートフォンが発売されたとして、「それでも欲しい」と思う人がごく一部いたとしても、大多数は買えないために需要量全体は少なくなります。これが左上の状態です。
価格と需要の強さ:価格弾力性との関係
経済学では、価格が変化したときに需要量がどれくらい変わるかを「価格弾力性」といいます。
- 価格が上がってもあまり減らない → 弾力性が低い(左上に多い)
- 価格が少し上がるだけで大幅に減る → 弾力性が高い(右下に多い)
つまり、需要曲線の左上は「弾力性が低い=価格が高くても買う層」が存在する領域なのです。嗜好品や必需品、高所得者向け商品が多く含まれます。
供給との関係:需要曲線だけでは決まらない市場の価格
需要曲線はあくまで「価格と需要量の関係」を示すものです。市場価格は、需要曲線と供給曲線の交点(=均衡点)で決まります。
たとえば供給が極端に少なければ、高価格でもわずかな需要に応じることになります。これは「高くても欲しい人がいるけれど、供給が少ないため価格が下がらない」という状態です。つまり左上の需要があっても、それだけでは価格は決まりません。
まとめ:「左上=需要がない」ではなく、「高価格に応じる強い需要」が存在する領域
需要曲線の左上は、価格が高いために需要量が少なくなる領域ですが、そこには高価格でも商品を欲しがる“価格に強いニーズ”があることを示しています。これは「需要が少ない」のではなく「価格が高いために限られた人しか買えない」状態です。
価格弾力性や供給との関係も合わせて理解することで、より正確に市場の動きを読み解けるようになります。

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