日本の財政赤字が深刻な中で、政治や経済界では「減税」への期待が高まっています。一方で「赤字なのに減税?」と疑問を抱く声も少なくありません。本記事では、財政赤字と減税・増税の関係について、専門家の見解や過去の事例を交えて解説します。
日本の財政赤字の現状とは
日本の国の借金は2024年度末には約1,200兆円に達するとされており、先進国の中でも群を抜いて高い水準です。これは主に社会保障費やコロナ対策、経済対策などによる歳出増加が背景にあります。
財政赤字=政府支出が税収を上回る状態であり、借金(国債)で補填しています。これが続けば将来的に金利上昇や信認低下を招く恐れもあります。
なぜ減税が議論されているのか?
減税の主な目的は、景気刺激です。可処分所得を増やすことで消費を促し、結果的に企業活動や雇用の拡大、ひいては税収増につなげようという狙いがあります。
たとえばアメリカではトランプ政権時に大型減税を実施し、短期的には経済成長率が上向きました。日本でも物価上昇と賃金の追いつかなさから、減税による生活支援が求められています。
増税による財政健全化は本当に正しいのか?
一見、増税は財政再建の「正攻法」に見えますが、タイミングを誤ると景気悪化を招きかねません。実際、2014年の消費税増税(5%→8%)時には消費が落ち込み、一時的に経済成長率も低下しました。
経済が停滞している状態での増税は「税収減」という結果にもつながる可能性があります。これは「ラッファー曲線」と呼ばれる理論でも指摘されており、税率が高すぎるとむしろ税収が減るという逆説があるのです。
持続可能な財政と経済成長の両立を考える
財政赤字を埋める手段は単なる増税だけではありません。以下のような複合的アプローチが有効とされています。
- 歳出の見直し(無駄な支出の削減)
- 成長戦略による税収増
- 効率的な税制設計(消費税と所得税のバランスなど)
- イノベーションによる産業競争力の強化
これらの施策を通じて、景気を冷やさずに税収を安定化させる道も模索されています。
海外の成功・失敗事例から学ぶ
イギリスでは1970〜80年代にかけて高税率が続いたことで富裕層の国外流出が進み、結果的に税収減となったという事例があります。
一方、スウェーデンは高福祉国家として有名ですが、企業活動に支障をきたさないよう法人税率を低く保ちながら、間接税(付加価値税)で財源を確保しています。
まとめ:減税か増税かの判断にはバランス感覚が必要
日本が財政赤字を抱える中で「増税すべきだ」と考えるのは一理ありますが、それだけでは経済を支えることはできません。重要なのは、景気や国民生活への影響を考慮したバランスの取れた政策運営です。
一時的な減税が経済を活性化させ、長期的に税収増を生む可能性もあります。反対に、拙速な増税は景気を冷やし、かえって財政を悪化させるリスクもあるのです。
減税と増税は単なる「足し引き」の議論ではなく、国の将来像をどう描くかという視点から慎重に検討されるべき課題です。

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