S&P500が最高値でも投資信託が同じように上がらない理由とは?為替や構成要因を解説

資産運用、投資信託、NISA

米国株式市場でS&P500が最高値を更新したというニュースを見て、連動する投資信託も同様に最高値になるのでは?と思う方も多いかもしれません。しかし、現実にはそうならないことがあります。この記事では、その理由をわかりやすく解説していきます。

S&P500と投資信託の違い

まず、S&P500はアメリカの代表的な株価指数で、米ドルベースで算出されています。一方、日本の投資家が購入するS&P500連動の投資信託(たとえば「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」など)は、日本円で価格が表示される金融商品です。

つまり、同じS&P500に連動していても、「通貨(円とドル)」の影響を大きく受けるという違いがあります。

為替レートの影響が大きい

たとえば、S&P500指数が米ドル建てで2%上昇したとしても、その期間に円高が進行していれば、円換算のリターンは打ち消されてしまいます。逆に、ドル高・円安が進めば、指数と同じかそれ以上の値上がりになることもあります。

例:ある週でS&P500が2%上昇しても、同時にドル円が145円→140円(円高)になると、投資信託の円価格では伸び悩む結果になります。

信託報酬などのコスト要因

もう一つ、投資信託の基準価額には信託報酬(運用管理費用)が毎日少しずつ反映されています。このため、指数にピッタリ一致することはなく、わずかにパフォーマンスが下回る形になります。

特に長期保有の場合、年間で0.1〜0.2%の差でも数年後には無視できない影響になります。

分配金(配当)の扱いの違い

米国株式には配当がありますが、投資信託ではそれを再投資しているケースが多いです。そのため、指数と投資信託の基準価額の動きには一時的な差が生じることがあります。

また、配当課税や再投資までのタイムラグもあるため、完全に指数と同じ動きにはなりません。

「為替ヘッジあり」と「為替ヘッジなし」の違い

S&P500に連動する投資信託には、「為替ヘッジあり」と「ヘッジなし」の2種類があります。為替ヘッジありの場合、為替の影響を抑える分、金利差コストが発生しリターンにマイナスの影響が出ることもあります。

結論:短期で為替リスクを避けたいならヘッジあり、長期で米ドル資産を持ちたいならヘッジなしが一般的に推奨されます。

まとめ:連動とはいえ、完全に一致しない理由を理解しよう

S&P500が最高値でも、日本で買える投資信託が同じように最高値にならない理由は、主に以下の4点です。

  • 円建ての価格で表示されており、為替レートの影響を強く受ける
  • 信託報酬などのコストでわずかにパフォーマンスが落ちる
  • 配当の再投資・タイムラグがある
  • 為替ヘッジの有無によって値動きが異なる

米国株式への投資信託は長期的な成長を期待する手段として優れていますが、短期的にはこれらの差異を理解しておくことで、混乱や誤解を避けることができます。

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