退職金とiDeCoを一時金で受け取る場合の退職所得控除と税金の計算方法をわかりやすく解説

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退職金やiDeCo(個人型確定拠出年金)を一時金で受け取る際には、「退職所得控除」や「退職所得の計算方法」を理解しておくことで、受取額の正確なイメージが持てます。本記事では、退職金1,500万円、iDeCo 5,190万円という具体的な事例をもとに、計算例と共に解説します。

退職所得控除とは?

退職所得控除とは、長年働いた人への税的優遇制度です。勤続年数に応じて所得控除が与えられ、以下のように計算されます。

  • 勤続年数20年以下:40万円 × 年数(最低80万円)
  • 勤続年数21年目以降:70万円 ×(年数 − 20)

今回の事例では、勤続43年のため、40万×20年+70万×23年=2,410万円が控除額となります。

退職金+iDeCo一時金の合算はできる?

退職金とiDeCo一時金は、同じ年に受け取る場合は合算して退職所得控除が適用されます。これにより控除枠を超えた部分にのみ課税されます。

本ケースでは、退職金1,500万円とiDeCo 5,190万円の合計6,690万円が対象です。

退職所得の計算方法

退職所得の金額は以下の式で求められます。

(退職金等の金額 − 退職所得控除)× 1/2

(6,690万円 − 2,410万円)× 1/2 = 2,140万円が課税対象所得となります。

所得税と住民税の目安

2,140万円の退職所得に対する税率(累進課税)は以下のように適用されます。

課税所得 税率 控除額
1,800万円超〜4,000万円以下 40% 279万6,000円

計算すると、所得税は以下の通り。

2,140万円 × 0.4 − 279.6万円 = 約576.4万円

住民税は10%と仮定して、2,140万円 × 10% = 214万円

合計:約576.4万円 + 214万円 = 790.4万円

手取り額の試算

6,690万円 − 約790万円(税金)= 約5,900万円が手取りの目安となります。

この手取り額は、あくまで概算であり、各種控除や年金等の他収入、居住地域による住民税の差、iDeCoの制度改正などにより変動する可能性があります。

注意点とアドバイス

・iDeCoは60歳以降に受け取り可能ですが、企業退職金と同年に受け取ると控除が競合します。分けて受け取ると控除枠を分けて使える可能性があるため、年をずらす戦略も有効です。

・iDeCoの受け取り年を遅らせることで、退職金とiDeCoそれぞれに退職所得控除を適用することもできます。これにより税負担をさらに抑えることが可能です。

まとめ:一括受け取り時は税金にも要注意

退職金やiDeCoの一括受け取りは、タイミングによって手取り額に大きな影響を与えます。特に、退職金とiDeCoを同時に受け取ると退職所得控除が合算となるため、税額が跳ね上がることもあります。

受け取り方や時期を工夫すれば、税負担を数百万円単位で軽減できる可能性もありますので、事前に税理士やファイナンシャルプランナーに相談することをおすすめします。

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