株式投資において利益が出た際、税務申告方法にはいくつかの選択肢があります。特に特定口座(源泉徴収あり・なし)を利用している場合には、複数の株式の譲渡益に対して異なる申告方法を選びたいと考える方もいるかもしれません。本記事では、損失繰越との関係を含め、申告の一貫性や制限についてわかりやすく解説します。
特定口座における申告の基本原則
証券会社が提供する「特定口座(源泉徴収あり)」を利用している場合、基本的には確定申告をしなくても税金が自動で引かれるため、納税手続きは完結します。ただし、損益通算や譲渡損失の繰越控除を行いたい場合には、確定申告が必須となります。
この際、口座単位での申告が求められます。つまり、A株式の利益だけ申告し、B株式の利益は申告しない、といった「銘柄ごとの申告」は原則として認められていません。
損失繰越控除を活用する際の条件
過去の譲渡損失を今年の利益と相殺(損益通算)し、さらに翌年以降に繰り越すには、すべての上場株式等の譲渡益を確定申告に含める必要があります。部分的に申告することはできないため、申告分離課税を選ぶ場合は、同じ口座内の譲渡益を一括で申告しなければなりません。
たとえば、A株の利益10万円、B株の利益20万円があった場合、「A株は申告しない、B株だけ申告」という処理は認められません。両方を含めた30万円を対象として、過去の損失と通算する必要があります。
源泉徴収あり特定口座でも申告は可能
源泉徴収ありの特定口座であっても、申告分離課税を選択して確定申告することは可能です。その際には、その口座内のすべての譲渡益・損失を含める必要があり、部分的な取り扱いはできません。
これにより、前年の損失と合わせた損益通算が可能になります。申告不要制度と損失繰越制度は排他的ではなく、利用方法を明確に選択することがポイントです。
複数口座を持っている場合の注意点
同じ証券会社であっても、特定口座と一般口座、もしくは複数の証券会社に口座を持っている場合には、それぞれの口座の扱いに注意が必要です。
特定口座Aでは申告するが、特定口座Bでは申告しない、という選択は原則可能です。ただし、損益通算を行うにはすべての口座を含めた一括申告が求められるため、損失を活用したい場合にはすべての取引を申告対象とする必要があります。
具体的なケースと税務上の判断
例えば以下のようなケースでは、以下のように処理されます。
ケース | 税務処理の可否 |
---|---|
特定口座(源泉徴収あり)でA株+10万円、B株+20万円、過去の損失−30万円 | 両方申告し損失と相殺 → ○ |
同口座でA株だけ申告、B株は申告しない | 一部のみの申告 → × |
証券会社Aの特定口座は申告、証券会社Bの口座は申告しない | 損益通算を希望するならすべて申告 → △(通算対象外になる可能性あり) |
まとめ:申告方法は口座単位で統一するのが原則
上場株式の譲渡益については、銘柄ごとに異なる申告方法を選ぶことは原則できません。同一口座内の取引は、すべて一括で申告するか、すべて申告しないかのどちらかを選ぶ必要があります。
特に損失繰越を活用する場合には、すべての譲渡益を対象にして申告することが求められます。部分的な申告では通算が認められないため、節税を意識したい方は正確な理解と専門家への相談が大切です。

こんにちは!利益の管理人です。このブログは投資する人を増やしたいという思いから開設し運営しています。株式投資をメインに分散投資をしています。
コメント