為替取引やCFD取引において、逆相関通貨のロット調整はポートフォリオのリスクヘッジにおいて重要な要素です。特に、価格水準やボラティリティが異なる通貨ペア間の両建て戦略を採る場合、単純な1:1のロット比ではリスクバランスが崩れる可能性があります。本記事では、そうした誤解を避けるための考え方と、具体的な調整方法について解説します。
逆相関通貨ペアとは?
逆相関通貨ペアとは、ある通貨ペアが上昇するときに、もう一方が下落する関係にある通貨の組み合わせを指します。代表的な例として、USD/JPYと金(XAU/USD)などがあります。
このような通貨ペアはリスクヘッジのために同時保有されることが多く、トレーダーのポジションのバランスを取るのに利用されます。
ロット比率の考え方:価格と変動率のバランス
たとえば、通貨Aが通貨Bよりも価格と変動率の両方で5倍のスケールである場合、単純に同じロット数を取ると損益は均衡しません。実際には「ドル換算ベースでのポジションサイズ」を揃える必要があります。
例として、通貨Aが1ロット=100万円、通貨Bが1ロット=20万円の規模で動くとすると、5:1のロット比(A:B)で建てることで初めて損益インパクトが均等になる可能性があります。
なぜ1:1の比率では両建てにならないのか
本質的に、「両建て」とはポジションの市場リスクを相殺する行為です。しかし、価格変動幅が異なる2つの通貨ペアを1:1で保有しても、それぞれの損益にズレが生じ、片方の動きが相殺しきれない可能性があります。
特にレバレッジが効いた取引では、その違いが顕著になり、1:1のロット比は実質的に一方の通貨に大きなリスクを抱えている状態になります。
実例で学ぶ:AUD/JPYとUSD/JPYの比較
たとえばAUD/JPYが1日の平均変動幅(ATR)80銭、USD/JPYが20銭とすると、AUD/JPYの価格変動リスクは約4倍と評価できます。このとき、AUD/JPYを1ロット保有するなら、USD/JPYは約4ロット持たなければ損益影響が釣り合いません。
このように、単価とボラティリティを掛け合わせたリスクを比較することで、適正なロット比率が算出可能です。
ロット調整の手法とリスク管理
- リスクパリティ法:通貨ごとの損益変動リスクを均等にする調整方法。
- ボラティリティベース調整:過去の平均変動幅をベースにロット比率を決定。
- ポジションサイズ計算ツール:オンラインの自動計算ツールを活用すると便利。
どの方法でも、変動幅や取引量を定量的に把握し、主観ではなく計算に基づく調整を行うことが重要です。
まとめ:通貨特性を理解して正しいロット設計を
逆相関通貨の両建てを行う際、単純なロットの「1:1」保有ではリスクを適切に分散できない場合が多くあります。ボラティリティや価格水準を考慮し、適切なロット比率を設計することが鍵です。
正しいリスク管理を行うことで、通貨ペアの相関関係を活かした効率的なトレードが実現できます。特に中級者以上の投資家は、単なる感覚的トレードではなく、統計的・数値的根拠に基づいた判断を心がけましょう。

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